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普段着で山を登らないで!ノルウェーが観光客に必死のPR開始

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
登山には登山服でという常識を伝える Photo:visitnorway.com

絶景スポット、フィヨルドやオーロラなど、美しい自然に恵まれたノルウェーには世界中から多くの観光客がやってくる。

SNS普及で、絶景でセルフィー写真を撮ろうと、岩場「トロルの舌」では危険な撮影行為に走る人も多い。

絶景スポットまでには登山が要されるが、準備不足で来る観光客が多すぎるため、ノルウェー観光局が外国人向けにやっとPRを開始した。

「アメリカ・ファースト」を連想させる「セイフティー(安全)・ファースト」というタイトルで、観光局や政府が動画のシェアを開始。

(ノルウェー語訛りの強い英語もお楽しみください)

しっかりとした登山靴、十分な食料、靴擦れ対策のテープなど、おすすめの持ち物を紹介。「登山なら当たり前」と思うかもしれないが、外国人観光客はこれらを持ってこないため、地元の救助隊が出動する事態に発展している。

「よくある間違い」として、リサーチ不足だった外国人の体験もまとめられている。「ジーンズは履いてこないほうがいい」、「スポーツシューズで来たけれど、登山靴のほうがよかった」など、今後の観光客には参考になる情報が多い。

ジーンズ、ハイヒール、サンダル、傘、使い捨てレインコート、雨をしのぐために黒いゴミ袋に包まれたリュックサック。外国人観光客の姿を、現地のテレビ局や新聞社はこれまで驚きをもって何度も報道していた。

「準備不足では危ない」という情報は、ネットでの口コミ効果により勝手に広まるだろうと、絶景スポットを宣伝してきた関係者は思っていたのかもしれない。

「自然での服装や心構えなんて、言わなくてもわかるだろう」と楽観的に考えていたノルウェーの人々。しかし、毎年外国人による下山トラブルは続出。今回、このような動画などがやっと出始めたことに、筆者は驚いた。よほど困っているに違いない。

詳細はVisit Norway「Safety First」にて

※9月20~28日は絶景「プレーケストーレン」でトム・クルーズ主演の映画『ミッション:インポッシブル』の撮影がおこなわれる予定。観光予定の方はご注意を。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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