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ラーメン評論家が実食して厳選! 絶対に食べるべきラーメン5選!【2024年12月】

山路力也フードジャーナリスト
絶対に食べておくべきラーメンがある。

ラーメン評論家がまた食べたいと感じたラーメンとは

店の数だけラーメンの味があるから食べ歩きはやめられない。
店の数だけラーメンの味があるから食べ歩きはやめられない。

 ラーメン評論家として活動を始めて早四半世紀。これまで累計で20,000杯以上のラーメンを食べ歩いてきた。何十年も毎日のようにラーメンを食べていて飽きないのかと良く問われるが、作り手の数だけ味があるラーメンの世界は実に奥深く、いくら食べても飽きることはなさそうだ。

 とは言え、これだけ食べてくると感動が薄れてくるのも事実。どこかで食べたような味と出会うことも増えてきた。それでも中には感動して一気に食べてしまうようなラーメンと出会うことがある。まだ食べたことのない新しい一杯や懐かしい味と出会える瞬間のために、日々食べ歩いていると言っても過言ではない。

 ラーメン評論家が思わず唸るラーメンとはどんなラーメンなのか。日々の食べ歩きの中で出会った、お薦め出来るラーメンを毎月厳選してご紹介していきたい。とは言え味の好みは人それぞれ。私が美味しいと薦めるラーメンが好みに合うかは分からないが、誠実で丁寧に作られたラーメンばかりであることは間違いない。なお掲載順は地域別に並べているだけで優劣を示すものではない。

今食べても全く隙のない一杯『創始麺屋武蔵』(東京・新宿)

ラーメンシーンを長年牽引し続けている『創始麺屋武蔵』。
ラーメンシーンを長年牽引し続けている『創始麺屋武蔵』。

 1996年の創業以来、常に革新的なラーメンを生み出し、ラーメン界に衝撃を与えてきた人気店「麺屋武蔵」。「革新にして上質」「唯一無二」が麺屋武蔵の変わらぬコンセプト。店舗ごとに味やテーマが異なる斬新かつ意欲的な出店を続けているが、その総本山とも言うべき店が『創始麺屋武蔵』(東京都新宿区西新宿7-2-6)だ。

 鶏ガラと豚骨の動物系スープと鰹節や煮干しの魚介系スープによる「二刀流」。口の中いっぱいに広がる醤油と和出汁の味わいを動物系スープの力強さで補完する。存在感のある麺も噛み締めるごとに味わい深い。今の時代に食べても古さを全く感じさせない隙のない一杯は、中国発祥のラーメンを完全に日本食として定着させたマスターピースだ。

厳選ポイント:四半世紀を越えても変わらぬ圧倒的な存在感

カナダ生まれの鶏白湯ラーメン『RYUS NOODLE BAR Tokyo Craft』』(東京・日本橋)

日本橋蛎殻町に日本路面店を初出店した『RYUS NOODLE BAR Tokyo Craft』。
日本橋蛎殻町に日本路面店を初出店した『RYUS NOODLE BAR Tokyo Craft』。

 2024年11月、東京日本橋蛎殻町にオープンした『RYUS NOODLE BAR Tokyo Craft』(東京都中央区日本橋蛎殻町1-9-5)は、カナダで人気のラーメン店『RYUS NOODLE BAR』による日本初の路面店。「カナダ人の味覚に合う、本格的な日本のラーメン」というコンセプトの一杯が、満を持して日本への凱旋を果たした。

 カナダのオリジナルに対して鶏や野菜の旨味を強くして、より輪郭をハッキリとさせた「Tokyo Craft」バージョンのラーメンは、朝締めた国産鶏の鶏ガラをその日のうちに炊き出したフレッシュな鶏白湯がベース。さらに野菜ポタージュの甘味と魚介出汁の旨味が重なりあい、深みのある重層的なスープに仕上がっている。プチトマトのマリネや塩麹レモンなどのアイテムも効果的に味を引き上げる。

厳選ポイント:カナダで愛されたなめらかな鶏白湯

塩味なのにしっかりと家系を感じる『王道いしい』(千葉・浜野)

千葉の家系ラーメン店の中でも高い人気を誇る『王道いしい』。
千葉の家系ラーメン店の中でも高い人気を誇る『王道いしい』。

 千葉県は関東の中でも人気実力を兼ね備えた家系ラーメン店が多い家系激戦区。家系ラーメンの人気店『王道家』出身者が、2017年に千葉市で創業した『王道いしい』(千葉市中央区村田町893-116)は、激戦区千葉でも屈指の実力派家系ラーメン店として県内外に多くのファンを持つ。

 「塩豚骨ラーメン」は家系ラーメンとしては珍しい塩味のラーメン。塩角が立ったキレのある塩ダレとスープが見事に調和して、鶏油の甘さと香りがマイルドに全体を包み込む。塩味なのにしっかりと家系ラーメンを感じる味わいは、家系ラーメンの表現の新たな形を提示している。

厳選ポイント:塩味なのにしっかりと感じる家系らしさ

名店の味を受け継ぐ醤油ラーメン『煮干拉麺専科 慶雲海』(千葉・おゆみ野)

『永福町大勝軒』の流れを汲む『煮干拉麺専科 慶雲海』
『永福町大勝軒』の流れを汲む『煮干拉麺専科 慶雲海』

 2021年、千葉市にオープンした『煮干拉麺専科 慶雲海(けいうんかい)』(千葉県千葉市中央区生実町2524-1)は、その名の通り煮干醤油ラーメンの専門店。千葉市内の人気店『海空土』で経験を積んだ店主の店で、老舗『永福町大勝軒』の流れを汲むこととなる。

 醤油の深いコクと香りが広がり煮干しがしっかりと効いた和風スープに、しなやかな食感の細麺が合わせられた醤油ラーメン。鳥取産大山鶏をベースに千葉県産をはじめとする国産煮干しを大量に使用したスープは、化学調味料や添加物を一切使わない。前日のスープを元に新たな材料を継ぎ足して作っていくことで、日々味に深みが増していく。

厳選ポイント:じんわりと染み入る味わい深い煮干スープ

小倉で長年愛される豚骨ラーメン『ラーメン 一龍』(福岡・小倉)

1946年創業の老舗ラーメン店『ラーメン 一龍』。
1946年創業の老舗ラーメン店『ラーメン 一龍』。

 創業は戦後間もない1946(昭和21)年と、福岡でも有数の歴史を持つ老舗が小倉にある『ラーメン 一龍』(福岡県北九州市小倉北区米町1-2-8)。ランチタイムともなれば近隣のオフィスワーカーや買い物客ですぐ満席に。小倉の街で長年愛されている地域密着型の人気店だ。

 ノスタルジックな豚骨ラーメンのスタイルでありながら、しっかりと濃度と旨味がある豚骨スープ。硬めに茹で上げられたストレート麺。表面を炙ったバラ肉チャーシュー。スライスされたゆで卵。実直に丁寧に作られているのが伝わる豚骨ラーメンは、小倉の人たちの日常に欠かせない存在だ。

厳選ポイント:しっかりと濃度と旨味のある豚骨スープ

 味の好みは人それぞれ。ラーメンを食べ歩く楽しさは自分好みの一杯を見つけることにある。今回ご紹介したお店は私が個人的に印象に残ったお店なので、まずは気になったお店に足を運んで頂いて、それをきっかけに自分だけの一杯を見つける食べ歩きの旅に出て欲しい。

※写真は筆者の撮影によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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