「おおっ!」と唸らせる年内のJリーグ補強7
年内も残り3日となりました。移籍市場は続きますが、12月28日付までの移籍で、思わず唸りたくなるJリーグの補強7を筆者の独断で選びました。
狙いどころ、チームとの相性、今年のプレーから感じさせる伸びしろなど、思わず唸りたくなる補強なので、誰もが注目する大型補強、複数クラブが競合したことが大々的に伝えられるような選手の補強は対象外としました。
田中達也(アビスパ福岡 ← 浦和レッズ)
長谷部監督の構築力に積極的な補強をプラスしてJ1とJ2の”エレベータクラブ”から脱却した福岡は、ここまでもJ1定着、さらなる躍進に向けた補強が目を引く。目玉は磐田から獲得したルキアンだが、その格好の相棒になりうるのが浦和から加入が決まった田中達也。鋭い突破からのクロスが武器で、ボックス付近でフィニッシュに絡む能力も備える。これまでのキャリアで見ればウイングバックがメインながら、サイドハーフがより特長を発揮しやすいと見る。
木本恭生(FC東京 ← 名古屋グランパス)
ボランチとセンターバックのマルチロールというイメージは強いが、セレッソではロティーナ監督のもと可変型のビルドアップを習得していることが、アルベル新監督の元でかなり生かされるはず。しかも183cmというサイズ以上に、空中戦に強い。引き続き中盤での起用もオプションになるかもしれないが、筆者としては固定的にセンターバックでビルドアップや跳ね返す強さを発揮させる方がチームとしてのメリットに加えて、評価アップにもつながるのではないか。
風間宏矢(ジェフ千葉 ← FC琉球)
尹晶煥監督が3年目で、主力選手がほとんど残留する千葉は熟成路線で悲願のJ1昇格を狙う。そこに明確な味付けを期待されるのが風間宏矢だ。もともとテクニックやビジョンには目を見張るが、肝心なところで勝負弱さが出てしまう向きもあった。しかし、琉球では積極的に攻撃を牽引する意識が感じられた。千葉はユン監督の掲げる堅守がようやく植え付けられてきたが、得点力アップのためには崩しのクオリティアップは必要。今年の琉球で9アシストを記録した風間には櫻川ソロモンやサウダーニャなどFW陣の得点数アップも担うことになる。
前田椋介(水戸ホーリーホック ← テゲバジャーロ宮崎)
J3からの”個人昇格”となるが、水戸のスカウトならではのチョイスだ。福島でデビュー、今年は地元の宮崎でプレーしたが、水戸で大きく成長して羽ばたいていく可能性が高い。キックの精度が非常に高く、直接FKも強い弾道でコースを狙える。ミドルシュートの決定力に加えてパス能力もあり、状況に応じて周りが見えている。あとはJ2の中でも球際やハードワークにフォーカスしている水戸で、秋葉監督から早期の信頼を勝ち取れるかどうか。ただ、シーズン中に”見つかってしまう”ことが一番の不安要素か。
柴田壮介(カターレ富山 ← 湘南ベルマーレ)
期限付き移籍ながらJ2昇格の原動力になりうる。今年無くなってしまったUー20W杯の有力候補の一人で、松岡大起が不参加だった合宿ではキャプテンマークを巻いていた。ボールを奪ってからのファーストパス、自慢の走力を生かした三列目からの飛び出しとミドルシュートを武器としており、湘南の選手だけあってハードワークも苦にしない。ポテンシャルは非常に高いが、現在伸び悩んでいるのは事実であり、新たな環境で殻を破れるか注目したい。
知念哲矢(浦和レッズ ← FC琉球)
ビルドアップ能力のある左利きのセンターバックはJリーグ全体でも非常に貴重だが、しっかり守れて機動力も高い。またプロではもっぱらセンターバックを担っているが、左サイドバックもこなせる。リカルド監督は1年目で固定的に4バックを採用しながら可変性を出していたが、2年目で3バックをオプションとして導入する可能性もある。その場合は3バック左で大きな貢献を果たせるかもしれない。9月に右脛骨高原骨という全治4ヶ月の大怪我をしたことが1つ不安材料だが、ACLも含めて過密日程からチームの疲労が出てくる夏場に完全フィットしてくれば大きな助けになる。
石毛秀樹(ガンバ大阪 ← 清水エスパルス)
リリースされた時は少し意外にも思ったが、片野坂知宏監督が大分で構築してきたスタイルをイメージすると、かなり合いそうだ。中盤からサイドバックまで幅広くこなせるだけでなく、攻撃ビジョンが豊かで、周囲の味方とうまく共有できれば堅固なブロックを破ってゴールに結び付ける打開力もある。献身的ではあるが、守備の強度が高い訳ではないので、前めのポジションで起用した方がゴールに導くプレーを発揮しやすそう。そこは片野坂監督の設計とガンバの選手との組み合わせの中で、見極められていくだろう。