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最終予選未招集でも”森保ジャパン”に食い込める、珠玉のイレブン

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

インドネシア、中国とのアウェーが続く、11月シリーズに挑む日本代表。ここで勝ち点3を得られるかどうかで、W杯アジア最終予選の行末に大きく関わってきます。願わくば2連勝で、ほぼ突破を確定させたいところですが、今回招集外の選手から、現在の3ー4ー2ー1にハマりそうな珠玉の11人をセレクトしました。

なお上田綺世をはじめ最終予選に招集経験がある選手で、怪我などの理由で今回呼ばれていない選手は対象外にしています。

GKは小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)です。成績が上向いているシント=トロイデンでしっかりとゴールマウスを守りながら、勝利を支えていることを評価しました。シュミット・ダニエル(ヘント)も、久々のリーグ戦でスタンダール・リエージュ相手に5−0の勝利に貢献。現地メディアでも最高評価を得る活躍ぶりでしたが、第一GKのダビー・ローフから正式にポジションを奪ったわけではなく、現状は様子見とします。

3バックは”第二次・森保ジャパン”でも招集歴のある渡辺剛(ヘント)と現在首位に立つJリーグ、ACLの両コンペティションで安定感が際立つ山川哲史(ヴィッセル神戸)、そしてA代表の初招集が待望されるチェイス・アンリ(シュトゥットガルト)の三人です。基準は個人として相手のアタッカーを封じられること、可変性の高い3バックで柔軟に振る舞える適応力です。

現在は怪我人が多く、台所事情が厳しくなっていますが、本来は選手層の厚いポジションで、彼らが食い込んでいけるか。そのほか、藤井陽也(コルトレイク)や中野就斗(サンフレッチェ広島)も候補としてリストアップしましたが、国際基準での特長に加えて、ここ数試合の失点シーンなどを検証した結果として、上記の3人を優先しました。攻撃的な右サイドバックとして活躍する半田陸(ガンバ大阪)も3バックであれば、センターバック側になるかもしれません。

左右のウイングバックは”森保ジャパン”での起用傾向から、無尽蔵の運動量と縦の推進力を誇る明本考浩(ルーヴェン)と大怪我を乗り越え、高速ドリブルで違いを作り出している坂元達裕(コヴェントリー)というセットに。現在のベストメンバーだと、左右の関係はどちらかというと堂安律が下がりめ、三笘薫が上がり目になりやすいですが、明本と坂元であれば反対のオーガナイズになるかもしれません。ポテンシャルとしては東俊希(サンフレッチェ広島)も面白い存在です。

ボランチは川辺駿(サンフレッチェ広島)と伊藤敦樹(ヘント)のコンビに。判断よくボールを捌けて、ボックス・トゥ・ボックスを得意とする川辺と、デュエルに強く、ここというところでの決め手がある伊藤は相性抜群でしょう。川辺は過密日程のせいか、少しプレー強度が心配ではありますが、リフレッシュして良い状態になれば十分に現在の”森保ジャパン”でも通用するものがあります。

伊藤は徐々にベルギーでフィットしてきている感がありますが、あとは目に見える結果を出せば、代表復帰に向けて格好のアピールになるでしょう。面白い存在としては新天地のイングランド3部でゴールを量産中の岩田智輝(バーミンガム)がいますが、リーグの格と強度を森保監督がどう判断するのか。ただ、セルティック時代に苦しんだだけに、筆者としても非常に嬉しい復活です。

2シャドーはドイツで躍動している三好康児(ボーフム)とチャンピオンシップ(イングランド2部)で抜群の機動力を見せる平河悠(ブリストル・シティ)の二人。三好はタイプ的にも、このシステムとポジションがマッチしているので、ブンデスリーガでさらに活躍して、森保監督の評価を高めたら北中米W杯に向けて、面白いアクセントになるかもしれません。

平川は町田で鍛えた守備強度をいかなる試合でも発揮できるのが強み。そこに、1得点1アシストの活躍を見せたプレストン戦のような決め手をさらに出せれば、ウイングバックとのポリヴァレントで”森保ジャパン”のテーブルに乗ってきそうです。国内組では山田新(川崎フロンターレ)やJ2得点王の小森飛絢(ジェフ千葉)も推したいですが、このポジションは非常に高いインテンシティーが求められるので、ここからの成長を見ていきたいところです。2年先の年齢的なバランスを考えず、実力面で評価すれば武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)も当然、有力候補になります。

1トップは町野修斗(キール)にしましたが、今回は上田が怪我で外れた状況でも呼ばれなかった事実を考えると、10月5日のレバークーゼン戦で、前半戦のみで交代、その後、途中出場が続いているコンディション面を森保監督が懸念した可能性もあります。ただ、前からの守備やポストプレー、シャドーもこなせるスピードなど、ベースの能力は代表基準でも申し分ないだけに、小川航基や大橋祐紀、今回のシリーズで代表復帰を果たした古橋亨梧ともハイレベルな競争をして行って欲しいものです。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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