オートバイのあれこれ『スズキのプライド・GSX-R』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今宵は『スズキのプライド・GSX-R』をテーマにお話ししようと思います。
ホンダの『CB』やカワサキの『ニンジャ』など、日本の二輪メーカーには世界に誇るオートバイの名ブランドがたくさんあるわけですが、スズキの『GSX-R』も、間違いなく世界に名だたるブランドの一つと言えるでしょう。
今回は、そんなGSX-Rの始まりとなったオートバイを2つご紹介します。
◆GSX-R400
『GSX-R』の名を背負って初めて登場したのが、レーサーレプリカモデルの『GSX-R400』でした。
(補足:デビュー時の正式な車名は『GSX-R』でしたが、ここでは便宜上「400」を付けておきます)
GSX-R400が登場したのは、1984年(昭和59年)のこと。
前年(83年)にリリースし大好評を呼んだ2ストレプリカの『RG250ガンマ』に続く、スズキ2作目のレプリカモデルでした。
レース由来の軽量なアルミ製フレーム(約7.5kg)、クラストップの59psを発揮する水冷4スト並列4気筒エンジン、そしてレーシングマシン風の外装パーツで固められたGSX-R400は、「レプリカ命!」だった当時のヤングライダーたちのハートを射抜き大ヒットモデルとなりました。
スズキは2ストクウォーター(250cc)のレプリカの世界をRG250ガンマで、そして4スト400レプリカの世界をGSX-R400でそれぞれ切り拓いたのです。
80年代のレプリカブームは今もよく伝説的に語られますが、その“カゲキな時代”の火つけ役となったのは、間違いなくガンマとR400を生み出したスズキだったと言えるでしょう。
◆GSX-R750
R400に続いて登場したGSX-Rが、この『GSX-R750』でした。
それまで、大型バイクというのは重量感のあるツーリング向けモデルが大半でしたが、スズキはこのR750で「史上初の大型スーパースポーツ」を作り上げたと言っていいでしょう。
そう言えるのは、R750がなんと言っても軽量だったから。
当時の750ccクラスのオートバイはたいてい220kg〜240kgほどの車重がありましたが、スズキはR750をなんと179kg(乾燥重量)に抑えていたのです。
この車重は当時の400ccクラスに匹敵するレベルで、R750は大型バイクでありながら軽快に乗れるということで世間を驚かせました。
そして、この軽さを実現できた秘訣の一つが、油冷エンジンを採用していたということです。
元々エンジン内に入っているエンジンオイルを積極的に冷却に使う油冷エンジンは、シンプル&軽いという空冷エンジンの長所と、冷却性能が高い(=ハイパワー化できる)という水冷エンジンの長所を兼ね備えた“良いトコ取り”のパワーユニットとなっていました。
また、R400と同様アルミフレームを使ったことも軽さに貢献した一つの要素だったと言えます。
当時の750ccにしては抜群に軽量ハイパワーだったR750の実力は半端ではなく、デビューイヤー(1985年)からいきなり全日本ロードレースやル・マン24時間耐久レースを制覇。
「元祖大型スーパースポーツ」を名乗るにふさわしい実績を挙げ、世界へGSX-Rの名を轟かせることに成功したのでした。