全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は「スイトックな実力派。ナナハンから進化したGS」をテーマにお送りします。

ホンダ『CB750FOUR』のデビューを機に巻き起こった、1970年代のビッグバイクブーム。

「より大きく、より速く」がテーマとなったこのブームはとめどなく盛り上がり、’70年代後半にはとうとう1,000cc級の排気量を持つ市販モデルまで登場してくるようになりました。

そしてスズキも、この大排気量化の流れから、1976年(昭和51年)にリリースした『GS750』をさらに大型化することを決意。

そうして生み出されたのが『GS1000』でした。

スズキは、GS750の基本構成を踏襲しつつ、エンジンやフレームを再設計。

エンジンについては、排気量をGS750の748.6ccから997.5ccまで拡大し、ピークパワーを約20ps増の87psまで高めます。

また一方で、エンジンが重くなるのを避けるため、キックスターターを廃止するなどの工夫が各所へ凝らされました。

結果的にGS1000のエンジンは、排気量的にはGS750のものよりワンクラス上であるにもかかわらず、750のエンジンより単体重量で4.5kgほど軽く、また前後長も750より短くなっていました。

ナナハンエンジンよりも軽量コンパクトなリッターエンジンになったということですね。

フレームのほうも、増大したパワーを受け止められるようパイプ径を太くしつつ、断面の肉厚を薄くし、より軽量でかつ頑丈なものを採用。

排気量(パワー)を上げつつ軽量化が追求されたGS1000はGS750よりもパワーウェイトレシオがかなり改善しており、そのパフォーマンスはまさしく「GS750の進化版」を名乗るにふさわしいものとなっていました。

そしてこのGS1000の知名度は、レースへの出場によって一気に広まります。

デビューイヤーの’78年(昭和53年)に開かれたAMAスーパーバイク選手権では『ヨシムラ・スズキ』のGS1000レーサーがいきなり優勝を果たし、同年夏の鈴鹿８耐においてもトップチェッカーを受け、見事８耐の初代チャンピオンになったのです。

GS750がそうだったように、GS1000もまた、レースでの圧倒的な強さによってたくさんのファンを獲得した実力派のオートバイだったのです。

画像引用元：スズキ