記録的短時間大雪情報の提案 大雪に関する情報は大雨に関する情報より少ない
寒気の南下が一段落し、大雪の報道がされなくなりましたが、福井では、豪雪の後遺症が続いています。雪崩や融雪洪水の危険性は引き続き高く、しかも、話題にならなくなった分だけ危険性は増しています。
そこで、今年の北陸豪雪を振り返って見ました。
今年の北陸豪雪
今年2月5日から6日の北陸豪雪では、福井県北部(嶺北地方)を中心に、昭和38年(1963年)の「三八豪雪」、昭和56年(1981年)の「五六豪雪」なみの豪雪が降り、大きな被害が発生しました。
この豪雪に対し、福井地方気象台は、福井市に対し、豪雪前日の2月4日朝から大雪注意報を発表・更新しています。
2月5日は、5時49分に大雪注意報が更新となったあと、8時4分に大雪警報が発表となり、11時39分、11時44分、20時25分、日付けが変わった6日は4時32分、10時37分、16時34分(図1では6日15時以降を省略)と大雪警報が6回更新されています。そして、大雪等に関する情報が2日間で5回(図1では6日15時以降を省略)発表となっています(図1)。
つまり、福井地方気象台は、福井市に対し、大雪警報、大雪注意報、大雪に関する情報を単純に計算すると、3から4時間に1回の発表です。
4年前の太平洋側の強く降る雪
今から4年前の平成26年(2014年)に本州の南岸を通過した低気圧により、甲府市で積雪が114センチとなるなど、関東甲信地方に記録的な大雪が降りましたが、大雪に関する情報の発表状況は、今年の北陸豪雪と似ています。
甲府で豪雪が降る前日の2月13日の18時20分に大雪注意報が発表となり、翌14日10時3分に大雪警報が発表となっています。その後、15日0時31分、5時30分、9時13分に大雪警報が更新となり、11時5分に解除となっています。
大雪警報と大雪注意報の発表は15日夕方から16日昼前までに6回、大雪に関する情報が6回で、この時も3から4時間に1回の発表でした(図2)。
しかし、平成29年(2017年)の九州北部の大雨に関する情報等のように、大雨に関する情報等は、大雪に関する情報等よりも、もっと頻繁に発表されています。
九州北部豪雨で発表された情報等
平年29年(2017年)7月5日から6日の九州北部豪雨の時の福岡県朝倉市に対して、福岡管区気象台では、大雨特別警報を5回、大雨警報を6回、大雨注意報を3回、大雨に関する情報を14回、そして、記録的短時間大雨情報を15回発表しています(図3)。つまり、約1時間に1回の頻度です。
大雨特別警報や大雨警報発表時に、記録的な短時間強雨が降ると、記録的短時間大雨情報が発表され、より一層の警戒をよびかけています。
記録雪の提案
今年の北陸豪雪では、見る間に積もる雪に対しての対応が遅れて動けなくなった車によって除雪作業が遅れ、除雪作業が遅れたことで、さらに多くの車が動けなくなっています。
不要不急の車を動かさないとか、早めに帰宅するなどの対策のためには、記録的短時間大雨情報と同様な情報、例えば、短時間に強く降る雪に対して「記録的短時間大雪情報(記録雪)」などが必要と思います。
仮に、3時間に12センチの降雪(1日に換算すると約1メートル)に対して、「記録雪」を発表したとすると、警報、注意報、情報の発表頻度が1から2時間になり、差し迫っている大雪の危険性をより周知できるのではないでしょうか。
図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページをもとに、著者作成。