『ワンパンマン』サイタマのパンチがすごすぎる。ホントに打ったら、地球が滅亡だ!
こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。
マンガやアニメ、特撮番組などを、空想科学の視点から、楽しく考察しています。
さて、今回の研究レポートは……。
『ワンパンマン』の主人公・サイタマは、モーレツに強い。
敵がどれほど強くても、表情も変えずにワンパンチ!
巨大な隕石が落下してきても、ワンパンチ!
これでどんな事件も解決するのだからびっくりだ。
このヒトの活躍を初めて見たときの衝撃を、筆者は忘れることができない。
マンガ第1話の冒頭で、いきなり出現したのはワクチンマン。身長50mはあろうかという巨体で、こう言い放つ。
「地球は一個の生命体である
貴様ら人間は 地球の命を蝕み続ける病原菌に他ならない――
私はそんな人間どもと それが生み出した害悪文明を抹消するため
地球の意志によって生み出されたのだ!」
筆者は「ぬぬっ、痛いところを突いてくる……」と思いかけたのだが、サイタマは表情も変えずワンパンチ!
ワクチンマンは断末魔の悲鳴を上げ、その体はバラバラに飛び散るのだった。
ろくに相手の話も聞かずに一撃で倒したのには驚いたが、筆者はあまりの強さに感動してしまった。
これを読んで以来、ずっと『ワンパンマン』のファンである。
――そこで考えてみたい。サイタマはいったいどれほど強いのか?
◆サイタマはなぜ強くなった?
そもそも彼は、なぜそこまで強くなったのか?
サイタマ本人によれば、彼は22歳のとき、就職活動中に怪人と遭遇したのをきっかけに、3年間、頭がハゲるほどの特訓をしたという。
そのメニューは、腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、ランニング10km、これを毎日。
うーむ、がんばったのは確かだと思うが、とてもその程度で手に入れられる強さではないのでは……。
すごかったのは、宇宙人ボロスとの戦いだ。
ボロスがサイタマに膝蹴りを見舞うと、真上に蹴り上げられたサイタマは、直後に岩に激突する。
真上に岩? と持ったら、なんとそれは月面だった!
ボロスはサイタマを月まで蹴っ飛ばしたのだ!
地表から月面までは37万6千km、光でも1.26秒かかる距離だ。サイタマが蹴られてから1.3秒で月に叩きつけられたとしたら、ボロスがサイタマを蹴り上げた速度は光速の97%=マッハ85万!
ボロスの強さにも驚くが、これを受けても死なないサイタマが本当にすごい。マッハ85万で蹴られたサイタマは、月面にもマッハ85万で叩きつけられたはずなのに……!
しかしサイタマはビクともせず、そこが月面だと気づくと、息を止めて地球にジャンプしたのである。戦いのレベルがすごすぎて、もうワケがわかりません。
◆ワンパンチで地球が滅亡する!
サイタマが地球に帰還すると、戦いは大詰めへ。
ボロスは、切り札の「崩星咆哮砲」というビーム技を出す。
これをサイタマは、マジ殴りで迎撃! ボロスのビームは二つに分断された。
――と思いきや、すさまじい閃光が起こり、直後に爆風が渦巻き、上空の雲がアメリカあたりまで吹き払われたのだった。
吹き飛ばされた雲は、中心角30度、距離8千kmほど(日本からアメリカ西海岸まで)の扇状である。
これはいったい何が起こったのか?
思うに、拳のスピードがあまりに速かったため、空気との衝突で莫大な熱が発生し、爆風が起きたのだろう。
通常、爆風は球面状に広がるが、この場面では、拳を打った方向に広がったのでは……と筆者は推測します。
だとすれば、マジ殴りの威力はマジでモノスゴかったはずだ。
作中の印象から、このときの爆風が10秒でアメリカに達したと仮定して、マジ殴りのエネルギーを計算すると、先ほどボロスに浴びた膝蹴りの6億倍!
ビキニ環礁の実験で使われた水爆に換算すると、なんと1700億発分である。
恐るべきサイタマ!
しかし、これほどすごいパンチが放たれてしまったら、どんな影響が出るのだろう?
日本からアメリカまで10秒で達する爆風の速度とは、マッハ2400だ。
こんな猛風が吹き荒れたら、地上のナニモカモが跡形もなく吹き飛ばされ、空気の乱れは地球全土に広がり、嵐が吹き荒れ、豪雨が大地を叩き、生態系はメチャクチャになるはず!
……と思って計算してみると、あっ。生態系どころの騒ぎではありませんでした。
莫大なエネルギーが熱に変わり、地球の気温は209万度に上がる。海も陸地もたちまち蒸発だあ!
サイタマのパンチはすごい! すごすぎて、地球が滅亡する可能性が充分にある。
こんなヒトが「趣味でヒーローをやっている」とは、なんとオソロシイ『ワンパンマン』ワールドであろうか。