真に「宇宙一明るい天体」を新発見!太陽1600万年分のエネルギーを1秒で放射…
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「宇宙一明るいクエーサーを新発見、その驚異的な特徴」というテーマで動画をお送りします。
ヨーロッパ南天天文台(European Southern Observatory, ESO)は2024年2月19日、観測史上最も明るいクエーサーを発見したと発表しました。
これまでこれほどのエネルギーを放つ天体は発見されたことがないとのことです。
本動画では、新発見の最も明るいクエーサーについて紹介していきたいと思います。
●宇宙一明るい天体「クエーサー」
こちらの画像、一見天の川銀河内の恒星に見えますが、実は恒星と比べて桁違いに遠くにあり、桁違いに明るく輝く「クエーサー」という分類の天体です。
よく知られている恒星までの距離はせいぜい数百光年、遠くても数千光年程度ですが、この天体との距離を調べると、数十億光年以上という、桁違いの超遠方に存在していました。
恒星と変わらぬ明るさで見えて、恒星より遥か彼方に存在するということは、実際はとてつもなく明るい天体であるとわかります。
実際クエーサーは、超新星爆発のように突発的に輝く天体や現象を除いた、比較的長期にわたって安定して輝き続ける天体としては、「宇宙で最も明るい天体」と言われています。
そのまばゆい光の起源は超遠方にある銀河の中心にある、超巨大なブラックホールに膨大な量の物質が流れ込むことでその周囲に形成される、降着円盤であると考えられています。
ブラックホールの強大すぎる重力により、降着円盤は数十億度という超高温に加熱されており、ブラックホールが属する銀河全体と比べ桁違いに明るく輝くこともあるそうです。
●最も明るい天体を新発見
ヨーロッパ南天天文台(ESO)は2024年2月19日、観測史上最も明るいクエーサー「J0529-4351」を発見したと発表しました。
J0529-4351の存在自体は以前から既に知られていましたが、あまりに明るく、長らく天の川銀河内の恒星だと誤認されていました。
また2022年にはAIによって、既知の観測データからクエーサーを探る分析が行われましたが、やはりJ0529-4351はあまりに明るすぎて、天の川銀河内にある恒星だと再度誤認されました。
AIによる判別は既知のクエーサーと似た性質を持つ未知のクエーサーを探るのに適していますが、J0529-4351は抜きんでて明るいため、AIをもってしてもクエーサーであると認識できなかったのです。
そんな中2023年、地上の望遠鏡の観測によって、遂にこの天体が桁違いに明るい「クエーサー」であることが判明しました。
○「J0529-4351」の物理的な特徴
「J0529-4351」は、何から何まで桁違いの性質を持ちます。
まずJ0529-4351はとてつもなく遠くに存在します。
現在の地球では、120億年前にJ0529-4351から放たれ、120億年間も宇宙を旅し続けてきた光が観測されるため、この天体の120億年前の姿を見ていることになります。
遠くにある天体ほど過去に遡ることができますが、J0529-4351は138億年前に宇宙が誕生した瞬間からわずか18億年しか経っていない時代まで遡れるほど、遥か彼方の宇宙に存在しているのです。
これだけ遠方にありながら天の川銀河内の恒星であると誤解させるほどのこの天体の明るさは、なんと太陽の500兆倍以上にもなります。
太陽が約1600万年かけて放射するエネルギーを、この天体はたった1秒間で放つ計算になります。
そしてJ0529-4351が存在する銀河の中心には、太陽の170億倍の質量を持つ観測史上最大級の超大質量ブラックホールが存在すると判明しました。
さらにこのブラックホールは、「毎日」太陽質量1個分以上に相当する量の物質を飲み込んでいるそうです。
この成長ペースは、観測史上最速記録です。
また、このブラックホールの周囲には宇宙最大の降着円盤が形成されており、その直径は7光年にも及びます。
逆に言うとたった7光年の円盤構造だけで、数百万光年に及ぶ巨大銀河など、宇宙に存在するあらゆる巨大天体を凌駕する桁違いのエネルギーを放っていることから、ブラックホールという天体の恐ろしさがわかります。