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三塁手と三塁手のトレード。カブスは「18本塁打の25歳」らと交換に「16本塁打の25歳」を獲得する

宇根夏樹ベースボール・ライター
イサック・パレイデス Jun 30, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月28日、シカゴ・カブスは、クリストファー・モレルハンター・ビギータイ・ジョンソンの3人と交換に、タンパベイ・レイズからイサック・パレイデスを獲得した。

 前日までに50勝56敗のカブスは、ナ・リーグ中地区の最下位に位置している。53勝52敗のレイズは、ア・リーグ東地区の4位だ。どちらも地区優勝の可能性は低く、ワイルドカードの3番手とは、それぞれ、6.0ゲームと4.0ゲーム離れている。

 カブスからレイズへ移籍したモレルと、レイズからカブスへ移ったパレイデスは、2人とも、1999年生まれの25歳だ。今シーズン、主に三塁を守っている点も共通する。モレルの先発出場は、三塁が73試合とDHが28試合。パレイデスは、三塁が77試合、一塁が13試合、DHは9試合だ。

 ホームランの本数も、18本と16本なので、そう違わない。過去2シーズンは、モレルが16本塁打と26本塁打、パレイデスは20本塁打と31本塁打。FAになるのは、しばらく先。2028年のオフと2027年のオフだ。

 ただ、出塁率は大きく異なる。2022年は.308と.304だが、モレルがその後も同水準であるのに対し、パレイデスはここ2シーズンとも.350以上を記録している。守備に関しても、パレイデスが勝る。

 カブスは、来シーズンに向け、内野を整備したと思われる。このトレードにより、内野には、一塁から反時計回りに、マイケル・ブッシュニコ・ホーナーダンズビー・スワンソン、パレイデスが並ぶ。

 レイズがパレイデスを手放したのは、モレルとともに得た投手2人よりも、ジュニオール・カミネロの存在とパレイデスの年俸が理由ではないだろうか。

 カミネロは、トップ・プロスペクトの三塁手だ。今シーズンのメジャーリーグ出場はないが、昨シーズン終盤にメジャーデビューし、7試合に出場している。

 また、パレイデスの年俸は、今シーズンが340万ドル。パレイデスは、今オフも年俸調停の申請権を持っているので、かなりの増加が見込まれる。一方、モレルの年俸は76万7000ドル。年俸調停の申請権を得るのは、来オフだ。レイズでは、主にDHとして起用されそう。それが適任のような気がする。

 なお、パレイデスがトレードで移籍するのは、今回が3度目だ。過去の2度は、2017年の夏にカブス→デトロイト・タイガース、2022年の開幕直前にタイガース→レイズと動いた。タイガースでメジャーデビューし、レイズで開花。そして、プロとしてのキャリアをスタートさせたカブスへ戻ってきた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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