韓国はなぜ渋野日向子、イ・ボミらが今週出場するインドネシアでのゴルフ大会に注目しているのか?
「渋野日向子の出場が決まり、雰囲気はものすごくいい。メジャーチャンピオン同士の対決はもちろん、キム・ヒョージュともハワイで優勝争い(ロッテ選手権)したあとの再対決にも関心が集まっている」
アジア・ゴルフリーダーズ・フォーラム(AGLF)のポール・パク事務総長は韓国メディアに向けて、このように喜びの声を語っていた。渋野の参戦で、日本のゴルフファンが注目するのをよく知っているからだ。
その大会とは、今月18日から3日間にかけて開催される「シモーネ・アジアパシフィックカップ」。会場はインドネシアの首都ジャカルタにあるポンドックインダGCで、2018年ジャカルタ・アジア大会のゴルフ競技が行われた場所でもある。賞金総額は75万ドルで、個人戦に50万ドル、団体戦に25万ドルの賞金が用意されている。
大会にはアジア太平洋地域の16カ国、44人が出場する。個人戦で54ホールのストロークプレーを行い、参加国別選手の点数を合算し、団体戦の順位を決める。2人1組のチーム戦も行われる予定だ。
ここには日本から渋野のほか、妹でアマチュアの暉璃子(きりこ)さん(明治大学2年)が参戦。そのほか、櫻井心那、篠原まりあが出場する。渋野は「社会勉強として一緒に行ってきます。楽しめたらいい」と話していた。
また、韓国からは米ツアー5勝のキム・ヒョージュ、米ツアー6勝で全米女子オープン優勝経験のあるユ・ソヨン、日本ツアー元賞金女王のイ・ボミ、ナショナルチーム出身で1カ月前にプロ転向したばかりの19歳ファン・ユミンのほか、リディア・コ(ニュージーランド)、韓国系アメリカ人のイエリミ・ノ(米国)、ティファニー・チャン(香港)なども出場する。
それにしてもこれだけの選手を集めて、このタイミングでイベント的な大会を開催するのはなぜなのか?
なぜメインスポンサーが韓国企業?
同大会を主催するAGLFは2020年1月に設立され、韓国・ソウルに本部がある。韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)やシンガポールゴルフ協会(SGA)と協力し、「レディス・アジアンツアー(LAT)」をアジア各地で行うための活動を展開しているという。
つまり、女子の「アジアンツアー」を開催するために、アジア各国とさらなる連携を強化していきたいという思惑がある。今大会もその一環で、より多くのゴルフ関係者やファンに目を向けてもらい、アジア全体のレベルを引き上げ、魅力ある試合を届けたいとの思いがある。
初開催となる今大会の冠スポンサーになったのは、韓国の有名バッグ製造企業の「シモーネ」。同グループの会長は韓国人のパク・ウングァン氏で、2010年からゴルフ競技への支援をスタートさせており、AGLF発起人の一人だ。
今大会を開催するにあたり、パク会長は「会員国のゴルフレベル、インフラ、市場、システムなどに差はあるが、今大会が一つの転換点となり、共に発展できるスタートとなることを確信している」と語っている。
つまり今大会は韓国から動き始めたもので、アジア全体のゴルフレベルの底上げと女子のアジアンツアーの定着が狙い。そういう意味でも渋野やイ・ボミの参戦を機に市場規模の大きい日本から目を向けてもらうのは大きな価値がある。
いずれにしても、今季米ツアーで何かと話題の渋野の活躍で、大会が大いに盛り上がることを期待したい。