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野球・韓国代表に「兵役免除を与えないと?」「ロス五輪も難しい」と厳しい声…1次ラウンド敗退の課題は?

金明昱スポーツライター
プレミア12初代王者の韓国代表。第3回の今年は1次ラウンドで敗退(写真:ロイター/アフロ)

 野球の「第3回WBSCプレミア12」に出場している韓国の1次ラウンド敗退が決定した。13日の初戦で台湾に敗れ、14日のキューバ戦で勝利。15日は日本に敗れたが、16日にはドミニカ共和国に勝利した。2勝2敗で迎えた18日、オーストラリアと対戦して5-2で勝利したが、4連勝の日本と3勝1敗の台湾を上回ることができずに17日の時点で敗退が決まっていた。

 同大会の1次ラウンドで韓国が敗退するのは初めてだが、韓国メディアの論調を見ると、そこまで結果には期待を寄せていなかったのかもしれない。

 課題を指摘する記事も多いが、共通するのは「先発投手が足りない」ことだ。

「エックススポーツニュース」は「韓国野球が先発投手の“資源不足”を痛感し、1次ラウンド敗退の辛酸をなめた。台湾戦で先発投手で登板したコ・ヨンピョ(KTウィズ)だが、2イニング被安打5(2被本塁打)、2四球、2奪三振、6失点で崩れた。ブルペン陣が3回から8回まで失点なく、台湾打線を封じ込めたことを考えれば、コ・ヨンピョの乱調が決定的な敗因だった」と伝えている。

“ポスト”キム・グァンヒョンやリュ・ヒョンジンが待たれる?

 また、「15日の日本戦で先発投手を務めた左腕・チェ・スンヨン(斗山ベアーズ)は、1イニングと3分の1を投げて2失点、16日のドミニカ共和国戦の先発のイム・チャンギュ(LGツインズ)も3イニングを投げて3失点でKOされた。韓国野球が国際大会で好成績を残しているときを振り返ると、1試合を確実に任せられる先発投手の存在が大きい。2000年シドニー五輪ではク・デソン、06年WBCではソ・じぇうん、パク・チャンホが柱となる役割を果たした」と伝え、先発投手陣の層の厚さが必要だと訴えている。

 “黄金期”と言われる08年北京五輪でも、リュ・ヒョジン(ハンファイーグルス)や日本の前に何度も立ちはだかり“日本キラー”と呼ばれたキム・グァンヒョン(SSGランダース)の存在についても強調していた。

 今後も国際大会が続くが、気になるのは2年後に日本の名古屋で開催されるアジア大会、そして2028年のロサンゼルス五輪予選を兼ねると予想される「2027プレミア12」だろう。

そのうえで記事は「競争力強化のため、若い投手の成長が切実だ。当面の課題はロス五輪まで代表の先発ローテーションを構築すること。“ポスト リュ・ヒョンジン”の宿題を解決できなければ、4年後、アメリカに行く道は閉ざされてしまう」と指摘する。

アジア大会の金メダルでは「競争力はない」

「デイリーアン」は「2010年に入ってから徐々に韓国野球が沈みはじめた。野球のインフラが完成段階にあるアメリカと日本がこれほどリードしていることに加え、すでにドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコなど中南米の国で、有望株が登場する中、韓国野球は世代交代に失敗し、未来を担う選手が出てきていない。実際、韓国はWBCで2013年と17年、昨年と続いて3大会連続で1次ラウンドで敗退の屈辱を味わった。21年に開催された東京五輪でも6チームのなか4位という成績でメダル獲得に失敗した」と厳しく指摘する。

 ちなみに韓国代表は、アジア大会では2010年広州大会から2022年杭州大会では、ベストメンバーを組んで、4大会連続で金メダルを獲得している。さらに記事は見出しで「兵役免除を与えるべき?」と皮肉たっぷりの見出しでこんな指摘をしている。

「アジア大会の場合、アメリカ、中南米の国が参加せず、日本もプロ選手を送らないため比較的、優勝が簡単という特徴がある。つまり、国際大会の競争力を図れない大会で、若い選手が兵役免除をわけあう“それ以上でも以下でもない舞台”だ」と手痛い批判を浴びせる。

 あながち間違ってもいないだろう。韓国野球は今年、観客動員が1000万人を突破するほどの人気ぶりだが、「KBO(韓国プロ野球)リーグは1000万人の観客も重要だが、実力ある選手の育成など大々的な改革が必要」とも伝えている。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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