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【河内長野市】秀吉の子が建立した穴場は凄すぎる!国宝特別公開中の天野山金剛寺の反対側にある鎮守社

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

天野山金剛寺では今年も秋季の国宝特別公開(外部リンク)が始まっています。国宝特別公開中にはキッチンカー(外部リンク)も日替わりで出ているとのこと。

広報かわちながの10月号より
広報かわちながの10月号より

金堂にある「大日如来坐像(13世紀)」「降三世明王坐像(12世紀)」「不動明王坐像(13世紀)」と奥殿にある「日月四季山水図六曲屏風」が、11月2日から4日9:00~16:30まで公開中拝観料金は各1,000円で、お得な共通券が1,500円です。

とここまでなら、広報かわちながのや天野山金剛寺でも紹介されていますが、せっかく金剛寺まで足を運ぶならぜひご紹介したい穴場があります。それは道路を挟んだ反対側にあります。1月31日まで開催中の女人高野デジタルスタンプラリーのスポット、恵之橋こと金剛寺鎮守橋とも関係がある場所です。

鎮守橋は寺の伽藍から鎮守社に向かうために架けられた橋で、その先にある鎮守社が道路を挟んだ反対側の山の中にあるのです。ご存じでしたか?

境内の絵図面を拡大すると、天野川の下側講堂や食堂の建物の下が森になっていて、さらに下を見ると山となっており、そこにはいくつか建物があるのが見えます。それが鎮守社です。

ということで、鎮守社を目指してみましょう。鎮守橋を渡って金剛寺の境内の外に向かいます。

鎮守橋を渡って階段を上がれば天野山バス停の前に着きます。いつもならここで帰りの河内長野駅行きのバスを待つのです。

しかし、今回は国道(旧国道170号線)を渡って反対側に向かいます。鎮守社に上がるための階段が見えます。

階段を上がってみます。あまり上がる人が少ないのか、階段は雑草に覆われています。

階段を上がると、道路を挟んだ反対側の天野山の境内が見えました。

ある程度上がると建物が見えてきました。これが鎮守社でしょうか?

何も書いていないのでわかりません。社であることは間違いないようで、扉が3つあり、その中に御神体が祀られているのかもしれません。

ただ、後でわかったことですが、鎮守社はさらに階段の上にありました。

しばらく階段を上がると立派な建物が見えてきました。

こちらが鎮守社拝殿です。1973(昭和48)年大阪府指定文化財に指定されたとありますが、現在は国の重要文化財に指定されています。そしてこの後の建物いずれも重要文化財とのことなので、境内の外にある山の中といえども侮れません。凄すぎますね。

慶長年間(1606年頃?)天下人の豊臣秀吉の子、豊臣秀頼が建立したと伝わります。そしてこの後にも登場する建物は、いずれも同時期に秀頼が建立。入母屋(いりもや)の屋根で、桟瓦葺(さんかわらぶき:軽量の波型瓦)とのこと。

鎮守社拝殿の上に本殿がありますが、その前に別の建物が見えてきました。

こちらは鎮守社鐘楼と呼ばれる建物です。鐘が入っています。

鐘楼は切妻屋根(本を伏せたような2つの傾斜になっているシンプルな屋根)で、本瓦葺とのこと。下の台形のような末広がりの部分は袴腰(はかまごし)と呼ばれています。

角度を変えると今でも鐘がぶら下がっています。

近づいて拡大してみました。

鐘楼からさらに階段を上がっていくと、鎮守社の本殿があります。

右上に赤っぽく見えるのが鎮守社の本殿です。

鎮守社の本殿です。建物はふたつあり、丹生高野明神社と水分明神社です。

拝殿と違い本殿の建物は白色や朱色に塗られているのが特徴です。

こちらが丹生・高野明神社の本殿で、左隣に水分明神社があります。

さて祀られている神々の由来ですが、高野明神は、白黒の二匹の犬を連れた狩人の姿で現れて、真言宗の霊場を探していた空海を高野山に導いたとされる神様です。丹生明神(にゅうみょうじん)は、高野明神の母神。イザナミノミコトの娘で、天照大神の妹神とのことです。

こちらが水分明神社本殿です。水分明神は水分神(みくまりのかみ)という水を分配する神様です。水分神を祀っているといえば、富田林喜志にある美具久留御魂神社(下水分)と千早赤阪村の建水分神社(上水分)がありますね。

ちなみに、本殿の中には神像が安置されていたそうですが、現在は天野山金剛寺の宝物殿に収蔵されているそうで、驚くことに今年の春から特別展示されていました(外部リンク)。鎌倉から室町時代の作品とのことなので、建物よりも古いことがわかります。

一連の建物を建立した豊臣秀頼の父である豊臣秀吉が、当時天野山金剛寺で作っていた僧房酒「天野酒」が好きで、味に注文を付けたという書類も残っているほどなので、天野山金剛寺と豊臣家が深いつながりがあることがここでも裏付けられた気がしました。

ということで、天野山金剛寺境内の国道を挟んだ反対側にある鎮守社の建物を紹介しました。明治時代の廃仏毀釈までは神仏混淆で各地にその名残を見ることができますが、天野山金剛寺も境内の反対側の山に鎮座しているとはいえ、神仏との深いつながりを感じました。

繰り返しになりますが、せっかく天野山金剛寺に特別公開されている国宝を拝観するのでしたら少し寄り道して、小高い山の中緑に囲まれて静かに金剛寺を見守っている重要文化座の鎮守社の建物群も参拝してみてはいかがでしょう。

天野山金剛寺・鎮守社

住所:大阪府河内長野市天野町

アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 天野山バス停下車徒歩8分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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