NBA総得点数記録樹立目前、「1点差」に泣いたKING
現地時間1月15日、ホームにフィラデルフィア・セブンティシクサーズを迎えたロスアンジェルス・レイカーズは、112-113で黒星を喫した。
思えば2年前、フィラデルフィアに乗り込んでの同一カードも、レイカーズは1点差で涙を吞んだ。この時のスコアは116-117だった。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210129-00219825
昨夜の"KING"レブロン・ジェームスは、Tipoff前から気力が漲っており、17時31分にウォーミングアップでコートに現れた瞬間に、会場であるCrypto.comアリーナの雰囲気を変えた。
ファンが彼の一挙手一投足に熱い視線を注ぐなか、14分間シュートを打ち続けると、控室に消えた。
対戦相手の2枚看板であるジョエル・エンビード、ジェームズ・ハーデンが敵陣コートで、またケガからの復帰を目指して調整中の同僚、アンソニー・デイビスもシュート練習をしていたが、KINGの存在感と迫力は、他者をまったく寄せ付けない。なるほど、彼が唯一無二の男であることを示していた。
1Q終了時、KINGの得点は16、エンビードが14、ハーデンが7。スコアは32-33でシクサーズがリード。ハーフタイム時でのレブロンは22得点でエンビードと並び、ハーデンが13。レイカーズは58-57で逆転していた。
2021年1月27日のゲームも白熱した好ゲームで、どちらが勝ってもおかしくなかった。勝利の女神が微笑んだのは、あの夜"運"を持っていた方……なる印象がある。が、2年前の両チームは東西の1位を走っていた。今日、シクサーズは東の4位、レイカーズにいたっては下から3位とPlayoff圏外に沈んでいる。
レイカーズが状況を打破するキーマンは、やはりレブロンだ。結局、この日は35得点10アシスト8リバウンドとKINGらしさを披露した。因みにエンビードは、35得点4アシスト11リバウンド、ハーデンが24得点13アシスト7リバウンドとなった。
KINGのNBA総得点数は38,024となり、カリーム・アブドゥル=ジャバーの記録にまた近付いた。しかし、いくら個人記録を樹立しても、チームを勝たせられなければKINGではない。
そのことを十二分に理解しているのであろう。レブロンは、試合後の記者会見に姿を見せなかった。
代わりに記者会見場にやって来たのが、私が注目するウェイン・ガブリエルである。https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20221205-00326521
昨シーズンまではなかなかNBAに定着できず、何度もGリーグに落とされる経験をしているガブリエルだが、今季は間違いなくレイカーズの戦力となっている。スーダン難民という異色のバックグラウンドを持つ男なだけに、ハートが強い。
15日のシクサーズ戦では、KING、ラッセル・ウェストブルック(20得点)に続く、チーム3位となる14ゴールを挙げた。KINGに感化される部分も多分にあるだろう。ガブリエルの闘う姿勢は、確かに彼を一人のNBA選手とした。
彼は言った。
「まだ色々と学んでいる時期。幸せも感じているけれど、同じようにフラストレーションも覚える。高いモチベーションとエネルギーを持ってコートに立っているよ」
ガブリエルの成長について、私は記者会見中にダービン・ハム監督に訊ねてみた。ハムは答えた。
「コーチ陣の話を良く聞く選手。技術も体力面も非常に伸びているね。このところ、自信を付けてきている。この調子で、ゲームでも自分の働きを続けてもらいたい」
翌16日の対戦相手、ヒューストン・ロケッツは最下位ということもあり、140-132で無難に叩いた。レブロンは48得点8リバウンド9アシストをマーク。総得点38,072となり、カリーム・アブドゥル=ジャバーの記録を更新するまで、316ゴールとなった。
ガブリエルも2日連続の14得点を挙げた。リバウンドは9。
レブロンがNBA総得点数記録を樹立する頃、レイカーズは浮上のきっかけを掴めているのではないか。チームメイトなら、嫌でもその数字の意味を肌で感じる筈だ。KINGの奮起、そしてレイカーズの若手の更なる台頭に期待したい。