台風21号発生 台風20号と2つの台風間の雲の塊とともに警戒
台風21号の発生
台風21号が、グアム島のあるマリアナ諸島の東海上で、10月19日21時に発生しました。
台風21号付近の海面水温は29℃以上と、台風が発達するとされる海面水温27度を上回っていることもあり、今後発達しながら北西進する見込みです(図1)。
台風は今後も発達しながら北上し、24日(木)には非常に強い勢力で小笠原近海まで達する見通しです。
その後も北上を続け、週後半には本州に近づくおそれもあります。
気象庁は、台風の進路予報を5日先までしか発表していませんが、過去の台風統計では、10月ともなると、台風は日本南岸までしか北上しません。
図2は、筆者が以前調査した10月の台風の平均経路です。
マリアナ諸島の東海上で10月に発生した台風は、北緯30度くらいまで北上してきても、偏西風に流されて日本の東海上に去るのがほとんどです。
とはいえ、統計的には、ごくまれですが、10月でも日本に上陸する台風があります(表)。
台風資料が整備されている昭和26年(1951年)以降では、10月20日以降に上陸した台風は5個、約15年に1回の割合でありますので、今後の台風情報に注意が必要です。
台風20号の動き
沖縄の南海上の強い台風20号は、強い勢力を保ったまま次第に進路を北東に変えながら沖縄にかなり接近する見込みです(図3)。
図2で示すように、10月台風の典型的な進路です。
沖縄地方では、21日明け方から昼過ぎにかけて、非常に強い風が吹いて海はしけとなる見込みですので、厳重に警戒してください。
沖縄本島南部が暴風域に入る確率が一番高い時間帯は、21日(月)の朝(6時~9時)ですので、この時間帯に最接近すると考えられます(図4)。
暴風域に入る確率は、現時点では一番高くても20%ですが、台風の接近に伴って確率が上がってくることも考えられます。
今後、確率の値が増えてきたら、より警戒が必要です。
台風20号は、温帯低気圧の性質を帯びつつ北東へ進み、西日本にかなり接近しますが、23日(水)までには温帯低気圧となる見込みです。
台風として上陸する可能性は少ないという予報ですが、安全というわけではありません。台風20号が南から暖かくて湿った空気を運んできますので、沖縄から西日本、東日本では大雨に対する警戒が必要です。
図5は、22日(火)の雨と風の分布予報です。
沖縄の東海上に台風(あるいは台風から変わった低気圧)がありますが、風や雨が強いのは、関東から近畿の沿岸です。
台風から離れていても、広い範囲で雨や風に対して注意が必要です。
台風間の雲の塊
警戒すべきは、台風20号と台風21号だけではありません。
台風20号と台風21号の間に雲の塊があります。
図6は、左上の台風20号の雲の塊、右下に台風21号の雲の塊がありますが、その間にも、雲の塊があるのがわかると思います(タイトル画像も参照)。
この雲の塊は、地上天気図では表現されていませんが、大雨を降らせるパワーを持っています。
台風20号、台風21号だけでなく、この雲の塊についても注意が必要です。
タイトル画像、図1、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。
図4、表の出典:気象庁ホームページ。
図6の出典:ウェザーマップ提供の図に加筆。