iPhone XとApple戦略に最も反応したのは日本人?
Appleの決算発表では、スマホ低成長時代のAppleの戦い方、すなわちスマホの高付加価値戦略とアクセサリ、アプリ、サービスを組み合わせたビジネスモデルが明らかになりました。その戦略に最も応えたのは?
Appleは2017年にiPhone 8、iPhone 8 Plusを先行して発売し、11月3日からは最上位モデルとしてiPhone Xをリリースしました。ホームボタンがなく、顔認証を搭載した新世代iPhoneという新鮮さはありましたが、999ドル、日本では11万円以上からという価格となりました。
Appleは2月1日に決算発表をしましたが、それ以前に、価格高騰から販売不振に陥っているとのニュースも流れていました。
アナリストの間ではiPhone Xの価格の高さに対してかねてからマイナス要因に働くとの見方が根強く、日本経済新聞の記事で引用していたモルガン・スタンレー証券のケイティ・ヒーバディ氏は「(11月発売のiPhone Xの影響は限定的なため)予想を上回る」と、指摘していました。
ところが、この見方は、2018年第一四半期決算については、さほど正しくなかったようです。
Appleは2018年第1四半期決算で、615億7600万ドルの売上をiPhoneから得ました。この数字は前年同期比で13%。販売台数は7731万6000台で、前年比1%の微減を記録しました。
ただし、決算期に含まれたのは昨年が14週であったのに対し、今期は13週だったことから、もし14週あれば前年同期を上回る数字になっていたことから、販売の勢いはさほど変わっていなかったことがわかります。
またiPhone Xがネガティブ要因であるという意見に対しても否定的な見方をすべきです。iPhone Xは11月の発売以降、iPhoneラインアップの中で毎週最も販売台数が多かった機種だったことが報告されたからです。同時に、販売台数微減で売上高2桁成長を実現したのは、より高いiPhone Xがよく売れたからに他なりません。
国別では、どこが反応が良かった?
Appleは国や地域別でのiPhoneの販売台数を公表しませんが、地域ごとの売上高については公表しています。その数字を見ると、iPhone Xがどの地域でより好調だったのかを推測することができます。
2017年第4四半期、つまりiPhone 8、iPhone 8 Plusの販売がわずかに含まれる四半期の各国の売上高成長率を見ると、北米は前年同期比14%増、欧州同 20%増、中国同 12%増、アジア太平洋地域同 5%増で世界全体では12%の成長だったのに対し、日本市場だけが同-11%と大幅な減少となっています。
ところが、iPhone X発売後を含む今回の2018年第1四半期には、北米前年同期比10%増、欧州同 14%増、中国同 11%増、アジア太平洋地域同 17%増だったのに対し、日本市場は同 26%増と大幅な増加を記録しています。
このことから、日本市場では、iPhone Xを待つために買い控え、11月3日移行に発売よく売れていた、と見ることができそうです。
不振の影響はこれから?
ただし、その日本市場での減速が、iPhone Xの不振の記事となって現れています。BCNによる主要家電量販店・ネットショップでの調査によると、日本国内では11月第1週のiPhone X発売直後は、日本のスマホ市場の24.7%を占めていましたが、12月には半減し、1月には10%以下へと落ち込んでいると指摘しています。
Appleも2018年第2四半期(2018年1〜3月)のガイダンスはアナリストの予想より低く見積もっており、今後iPhoneの販売が牽引するAppleの売上高が弱含みする事を想定しています。
※ Appleの2018年第1四半期決算については、有料マガジン #アップルノート で、各種グラフを交えて詳しくまとめています。
【 #アップルノート 】 Appleの2018年第1四半期決算で注目すべきはiPhoneの平均販売価格が他社を寄せ付けないレベルに達したこと