太平洋高気圧が強まって関東を中心とした猛暑、梅雨前線は北上して今度は北陸で線状降水帯による大雨
関東地方を中心とした猛暑
令和5年(2023年) 7月10日は関東地方を中心に気温が上昇し、山梨県・大月では38.7度と、今年初めて38度を超えました。
東京では、今年初めて熱中症警戒アラートが発表となりましたが、最高気温は36.5度で、今年初めて猛暑日となりました。
最高気温が25度以上という夏日を観測したのは884地点(気温を観測している全国915地点の約97パーセント)とこれも今年最多でした。
そして、7月11日も関東地方を中心に気温が上昇し、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのが574地点(約63パーセント)と、今年最多となりました。
さらに、7月12日も関東地方を中心に気温が上昇し、東京都・八王子では最高気温が39.1度と、今年初めて39度を超えました。
このほか、練馬38.6度、府中38.3度、青梅38.0度、東京都心37.5度という最高気温で、ほぼ東京都全体が体温以上の気温となりました。
ただ、全国で最高気温が35度以上の猛暑日を観測したのが58地点(約6パーセント)と、7月7日の62地点(約7パーセント)には及びませんでした(図1)。
しかし、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのが439地点(約48パーセント)、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが758地点(約83パーセント)と、多くの地点で記録的な暑さになったことには変わりがありません。
これは、太平洋高気圧が強まり、西~東日本の太平洋側や南西諸島は高気圧縁辺をまわるように暖かくて湿った空気が北上し、強い日射とあいまって気温が上昇したためです(タイトル画像)。
また、地表付近の高温によって大気が不安定となり、晴れて気温が上昇した東日本の太平洋側の地方でも、山沿いを中心として、にわか雨や雷雨の所がありました。
北陸で線状降水帯
梅雨前線は、太平洋高気圧の強まりによって少し北上し、朝鮮半島から東北地方にのびるようになってきました。
この梅雨前線は、上空に寒気を伴っており、ここに向かって太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気が流れ込んでいるため、西日本から東日本の日本海側と北日本では、大気が非常に不安定となって大雨が降りやすくなっています(図2)。
つまり、福岡県と大分県に大雨特別警報が発表となるほどの大雨を降らした梅雨前線が、少し北上し、北陸とか東北で大雨を降らせる可能性がでてきたのです。
事実、7月12日夜遅くになって石川県と富山県で線状降水帯が発生し、大雨となっています。
気象庁では、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いており、命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっているとして、7月12日21時39分に石川県に対して、同22時9分に富山県西部に対して、同22時39分に富山県西部に対して「顕著な大雨に関する気象情報」を発表しました(図3)。
すでに大雨警戒レベル4の避難指示が出ていたら、災害が起きる前に今すぐ避難し、たとえ、避難情報がまだ出されていなくても、少しでも危険を感じたら、身の安全を図る行動をとる必要があります。
今後の雨
ここ数日の気圧配置は、大きく変わらない見込みです。
ただ、太平洋高気圧がゆっくりと強まっていることから、梅雨前線は北陸から東北へとゆっくり北上すると考えられます(図4)。
このため、7月13日~14日は北陸を中心に大雨となりますが、強い雨の降る場所は、次第に東北地方へと変わる見込みです(図5)。
梅雨明けをした沖縄・奄美、梅雨がないとされる北海道を除いて考えると、太平洋高気圧が強まり、梅雨前線が押し上げられると、多くの場合、全国的な梅雨明けということになります。
各地の天気予報を見ると、東日本の太平洋側から西日本は、7月15日以降、東日本の日本海側と東北地方は7月17日以降に晴れの日が続きますので、この頃に梅雨明けとは考えられます(図6)。
となると、平年より早い梅雨明けということになります(表)。
タイトル画像、図2、図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図4、表の出典:気象庁ホームページ。