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なでしこジャパン、14日のパナマ戦は「仮想・コスタリカ」。W杯の放送も決定!

松原渓スポーツジャーナリスト
なでしこジャパン(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

【新背番号から見えてくるチームの輪郭】

 ニュージーランドとオーストラリアの開催で行われる女子ワールドカップ開幕まで1週間。9大会目となる今大会は、史上最多の32カ国が参戦し、賞金額も史上最高額に。各国リーグのプロ化が進んできた中、大会のレベルも過去最高になると予想される。

 日本ではこれまで地上波での放映が決まっていなかったが、13日にはNHKが日本戦3試合を放送することを発表した。日本戦以外の試合はFIFA +(FIFAプラス)で見られる可能性がある。

 日本女子代表(なでしこジャパン)の選手たちは、放送決定を移動中のバスの中でSNSで知り、喜びの声が上がったという。DF南萌華は「率直に、本当に嬉しいです」と明かし、一方で危機感も露わにした。

「本当に、今回はなかなか放送が決まらない中で、(大会直前で)やっと決まったという感じですけど、私自身は、『女子サッカーを放送したい』と思ってもらえるぐらい、注目をされるようにならないといけないと感じます。そのためにも今回のワールドカップは本当に大事になると思うので、放送していただけることには本当に感謝ですし、日本の皆さんに女子サッカーを応援したいと思ってもらえるよう、責任を持ってプレーしたいと思っています」

 なでしこジャパンは、6月末から10日間の直前キャンプを千葉で実施。その後、3日間の束の間のオフを経て今月10日に仙台で再集合。リーグ戦でのケガが心配されていたMF遠藤純とFW浜野まいかも、アメリカとスウェーデンからそれぞれ万全の状態で合流し、14日(金)にユアテックスタジアム仙台で行われるパナマ戦に向けて仙台で最終調整を行った。

 この試合は日テレが中継する。

今大会に出場する23名の選手たちの背番号からは、今大会のチームの輪郭が見えてくる。

 守護神を象徴する背番号「1」は、前回大会に続きGK山下杏也加がつける。また、キャプテンのDF熊谷紗希は、4大会連続で、センターバックの主軸を象徴する「4」を背負う。

熊谷紗希
熊谷紗希写真:アフロ

 チームの要を象徴する新・10番には、リバプールで活躍するMF長野風花が抜擢された。長野は、公式戦では昨年7月のE-1選手権で初めて10番を背負い、優勝に貢献。澤穂希さんやFW岩渕真奈ら、なでしこジャパンを名実ともに引っ張ってきた選手たちのバトンを受け継ぎ、多彩なパスとハードワークで攻守を牽引していく。

長野風花
長野風花写真:REX/アフロ

 なでしこジャパンの「8」は、稀代のキッカーとしてなでしこの黄金期を築いた宮間あやさんが背負っていた番号だが、今大会でその番号をつけるのは、浦和で長く8番を背負ってきたMF猶本光。WEリーグ優勝の得点力を支えた精緻なキックやミドルシュートに期待がかかる。

 マンチェスター・シティで活躍する司令塔のMF長谷川唯は、前回大会と東京五輪に続き背番号「14」。ベレーザ時代から長く背負ってきた番号で、代表で14番と言えば長谷川のイメージが定着している。

 男子の森保ジャパンと照らし合わせてみると、プレースタイルに共通点が感じられる数字もあって面白い。森保ジャパンで三笘薫がつける「7」を背負うのは、スピード+ドリブルという共通点を持つMF宮澤ひなた。また、森保ジャパンのキャプテン・遠藤航と同じ背番号「6」を背負う杉田妃和は、フィジカルの強い選手が揃うアメリカでデュエルの強さを発揮しており、やはり共通項がある。

宮澤ひなた
宮澤ひなた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ストライカーや点取り屋を象徴する9番と11番をつけるのは、森保ジャパンの最新の背番号では古橋亨梧と上田綺世。なでしこジャパンでは今大会で、FW植木理子とFW田中美南が背負う。2人は代表でも激戦区のポジションで、結果を残すことの重要性や責任感を口にしてきた。

 そのように、それぞれの背番号が持つ意味や、受け継がれてきたものを考えてみるのも面白い。

【パナマ戦の見どころは?】

 パナマはFIFAランクは52位(日本は11位)で、今回のW杯が初出場となる。

 なでしこジャパンは2021年4月の東京五輪前に国立競技場でパナマと対戦し、7-0で勝利した。ただし、パナマはこの2年間で国全体がサッカーのレベルアップを図っていて、国内リーグもプロ化に近づいているという。

「パナマのサッカーの特徴は常に諦めずに戦い続けるところです。弱点として挙げられるのは、規律がやや不足しているところですが、それについても下部組織や育成から取り組んでいます」と強調したイグナシオ・キンタナ監督。今大会ではブラジルやフランスといった強豪国と同グループだが、粘り強く戦って番狂わせを起こそうと意気込む。

パナマ女子代表(2023 FIFA 女子W杯 予選 大陸間プレーオフ 準決勝)
パナマ女子代表(2023 FIFA 女子W杯 予選 大陸間プレーオフ 準決勝)写真:ロイター/アフロ

「日本との2年前の対戦で多くのことを学び、あの試合から私たちのハイパフォーマンスへの取り組みがスタートしました。今回の対戦では、この2年間で積み上げたものを披露したいと思っています」

 パナマは日本がGS第2戦で戦うコスタリカの隣国で、システムなども類似点が多い。池田監督は「前線の選手はスピードがあってゴールに向かう推進力もあるので、そういうところを確認しながら、しっかりと成果につなげたい」と、1対1の局面の重要性に言及。センターバックのDF南萌華も、「一発でカウンターでやられる可能性がある相手なので、守備のリスク管理は(直前合宿の)千葉の時からディフェンスラインで徹底して話してきました」と、初戦のザンビアも含めたカウンター対策に力を込める。

 日本がW杯のグループステージ第3戦で対戦するスペインは、先月パナマに7-0で勝っているため、日本も大量得点での勝利が期待される。その中で、再現性の高い攻守の連係を発揮しながらバリエーション豊かなゴールシーンを見せてほしい。

2023年7月14日(金) MS&ADカップ2023

会場:宮城県/ユアテックスタジアム仙台

19:05 キックオフ vs パナマ女子代表

FIFA 女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド 2023

大会期間:2023年7月20日(木)~2023年8月20日(日)

グループステージ

第1戦 7月22日(土) 16:00(日本時間)vs ザンビア女子代表

第2戦 7月26日(水) 14:00(日本時間)vs コスタリカ女子代表

第3戦 7月31日(月) 16:00(日本時間)vs スペイン女子代表

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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