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今、シングル女性に好まれるコンパクト住戸の特性を専門的に分析した

櫻井幸雄住宅評論家
横浜市内の「ブランシエラ横浜瀬谷」では1LDK住戸が真っ先に売れた。筆者撮影

 首都圏の新築分譲マンションでは、3LDKの比率を減らし、2LDK、1LDK、そしてワンルームタイプを増やす傾向が出ている。そのなかには、シングル女性の購入が目立つ物件もあることを3LDKの半額で買える新築マンション1LDK、シニアを含むシングル女性に人気上昇の記事で紹介した。

 3LDK、4LDKのプランをファミリー住戸と呼ぶのに対し、ワンルームから2LDKまでのプランはコンパクト住戸と呼ばれる。

 新築分譲マンションでコンパクト住戸が増えてきた背景には。家族構成の変化と新築分譲マンションの価格上昇の影響がある。

 まず、家族構成の変化とは。

 首都圏では4人家族よりも3人家族が増え、夫婦2人暮らし、そして1人暮らしの比率も高まっている。3人、2人、1人の世帯にちょうどいいのがコンパクト住戸。なかでも2人暮らし、1人暮らしに対応する1LDKは需要が多い。それで、コンパクト住戸のなかでも1LDKの比率が高まっているわけだ。

 1LDKであればセカンドハウスとしての購入も期待できるし、賃貸マンションとしての活用を考え、投資目的の購入者も見込める。多くのニーズに応えるため、1LDK住戸が増えてしまうという側面もある。

 次に、価格上昇の影響とは。

 新築マンション価格が上昇すると、1LDKは売りやすい価格帯に収まる、という利点が際立つようになる。

 3LDKが70平米前後であるのに対し、1LDKであれば40平米前後でつくることができるため、グロス価格を抑えることができるわけだ。建設費が上昇するなか、グロス価格を抑える1LDKは不動産会社にとってぜひとも商品ラインナップに入れておきたいプランとなる。

 以上2つの理由で1LDKの売り物が増えたのだが、1LDKならば、黙っていても売れるというものでもない。

 それは、1LDK住戸の購入者に変化がみられるからだ。

 従来、1人暮らし向けの1LDKやワンルームを購入するのはシングル女性と投資家が中心だった。しかし、いまはシングル男性も自ら住む目的で購入するし、シングル女性には年齢層が広がっている。

 コンパクトマンションを購入する1人暮らしといっても、いろいろな人物像があり、コンパクト住戸に求められる特性も多様化。「従来のコンパクト」では、現実的な需要に対応できないケースが生じている。

 では、現実的な需要とはなにか。不動産関係者や不動産情報の発信者など専門家のため、他には出ていない情報をまとめたい。

首都圏新築マンション1LDKの実情

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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