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ホークスJr.唯一の「胴上げ投手」は今、火の国サラマンダーズで断トツ首位打者&盗塁王!

田尻耕太郎スポーツライター
打席に向かう前の高山凌選手(右から2人目)。元カープの小窪選手(右)と・筆者撮影

 九州アジアリーグで断トツ首位打者を走っているのが高山凌内野手だ。

 ここまで22試合に出場して打率.348をマーク。リーグ2位が.282で同3位が.265だから、高山が飛び抜けているのは一目瞭然だ。さらに、盗塁王ランキングでも16個で堂々1位に立っており、リードオフマンとして上々の役割を果たしている。

 じつは「決して足が特別速いわけではない」と苦笑いするが、頭脳と技術でそれを補っている。理想は過去に西武で4年連続盗塁王に輝いた片岡治大(現巨人三軍野手総合コーチ)だ。

「中学生の時に、本か雑誌で片岡さんの盗塁技術に関することを読んで、それ以来ずっと今も実践しています」

元盗塁王のスライディングを参考

NPB入りの夢にめがけて、猛ダッシュ!(筆者撮影)
NPB入りの夢にめがけて、猛ダッシュ!(筆者撮影)

 意識するポイントはスタートとスライディングだ。特にスライディングは敢えて一般論とは逆のやり方を貫いている。

「ベースの近くでスライディングをしています。寸前まで全力で走って、その勢いのまま突っ込む」

 片岡とかつて同僚だったのが、火の国の細川亨監督だ。細川監督も「高山は片岡タイプ」と評していた。高山にそれを伝えると初耳だったらしく、驚いた表情をしていた。

 高山はかつて、福岡ソフトバンクホークスのユニフォームに袖を通して日本一に輝いたことのあるプレーヤーだ。毎年12月下旬に行われる「NPB12球団ジュニアトーナメント」に、小学校6年生だった2009年大会にホークスジュニアチームの一員として出場した。その当時は投手で、大会ではホークスジュニアの柱として4連投して見事優勝の立役者となった。その時は「嬉しいです。4連投しましたが大丈夫でした。三振を奪って胴上げ投手になれたことと、予選リーグ初戦で二塁打を打ったことが思い出です」と話していた。

2009年のジュニアトーナメントで日本一を決めた際の高山(筆者撮影)
2009年のジュニアトーナメントで日本一を決めた際の高山(筆者撮影)

首位打者だけど、安打数より四球が多い

 同大会は昨年で16回目を迎えたが、ホークスジュニアが日本一に輝いたのはこの一度だけである。

「ホークスジュニア出身だったり、日本一になったことで重圧を感じたこともありました。だけど、それを糧にして頑張れたし、沢山の人とのつながりもできた。プロ野球という世界を身近に感じることもできています」

 長崎・海星高校時代は2年夏に甲子園に出場し、2番・ショートで2安打を放つ活躍も見せた。その後日本体育大学を経て社会人・熊本ゴールデンラークス入りし、今年から火の国サラマンダーズでプレーしている。

「目標はもちろんNPB入りです。出塁率の高さと堅実な守備がアピールポイントです」

 打率も高いが、四球も多い。ここまで24安打に対して26四球を選んでおり、出塁率は.531をマークしている。そして得点は26。「塁に出て、ホームに還ってくる。チームに貢献するために何をすべきか、勝利のために出来ることは何かを常に考えています。僕の中でひそかにアピールしたいところなんです」と決意をのぞかせた。

高山凌(たかやま・りょう)

1997年5月20日生まれ、福岡県出身。24歳。身長173cm、体重75kg。ホークスジュニア5期生。長崎海星高校から日本体育大学を経て社会人・熊本ゴールデンラークス入りし、今年から九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズでプレー。背番号0。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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