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元広島カープ、火の国サラマンダーズ山口翔が現役引退「赤だいすきー!」地元熊本で決断

田尻耕太郎スポーツライター
現役引退を表明した山口翔(2023年4月撮影)

 プロ野球「ヤマエグループ九州アジアリーグ」の火の国サラマンダーズは20日、かつて広島東洋カープでも活躍した山口翔投手の現役引退を発表した。

 山口は熊本市南区出身の25歳。地元強豪の熊本工業高校在学時から剛腕として名を轟かせ2年夏の県大会2回戦・八代東高校戦では16奪三振の力投を見せ、3年生春にはセンバツ甲子園大会に出場を果たした。

村上宗隆らとしのぎを削った熊工時代

 また、当時の熊本の高校球界は逸材ぞろいで、同世代には九州学院に村上宗隆選手(現東京ヤクルトスワローズ)、4季連続甲子園出場を果たした秀岳館高校の田浦文丸投手(現福岡ソフトバンクホークス)がいた。

 2017年ドラフト2位で広島に入団。2019年5月30日のヤクルト11回戦(神宮)でプロ初先発すると7回1安打無失点の好投でプロ2年目にして初勝利を挙げて将来を嘱望された。しかし、2勝目は遠く、一軍登板も同年限り。5年目オフに戦力外となり、広島時代の一軍通算は9試合登板で1勝3敗、防御率4.85だった。

火の国サラマンダーズで2年間プレー

 12球団合同トライアウトを経て、2023年シーズンからは地元熊本を本拠とする火の国サラマンダーズで再起をかけた。

 1年目は33試合5勝1敗1セーブ10ホールド、防御率3.28の成績。自慢の直球のスピードを154キロまで伸ばし、NPB復帰をアピールして昨年も2年連続で12球団合同トライアウトに参加したもののオファーがなく、今季も火の国でプレー。シーズン当初は抑えだったが、終盤戦では先発でも登板して26試合に投げて5勝1敗5セーブ1ホールド、防御率4.40の成績を残した。

来春に引退試合開催へ

今年9月19日、福岡ソフトバンクホークス3軍戦(山鹿)に先発した際に撮影。これが公式戦ラストマウンドとなった
今年9月19日、福岡ソフトバンクホークス3軍戦(山鹿)に先発した際に撮影。これが公式戦ラストマウンドとなった

 山口は球団を通じて、以下のコメントを寄せた。

「まだ投げられる!動ける!やれる!体の状態ですが、悩んだ末今シーズンをもちまして現役を引退する事に決めました。

 カープを戦力外となり、トライアウトを受け1番にお声を掛けて下さったのが『火の国サラマンダーズ』でした。

 地元熊本のチームでもあり、まだ野球が出来る環境を作ってもらい本当に嬉しかった、感謝しかないです。カープ時代ではプロ初勝利、サラマンダーズではリーグ優勝、日本一も経験出来て僕の野球人生の宝物です。

 そしてどんな時でも熱い声援を下さった真っ赤なカープ、サラマンダーズファンの声援をマウンドから感じながら投げられて幸せでした。

 最後に僕の野球人生に携わってくれた熊工の恩師や馬原さんはじめ、火の国サラマンダーズの皆さん、そして広島東洋カープの皆さん、ファンの方々本当に本当に今までありがとうございました!!!!!!!!! これからも山口翔をどうぞよろしくお願いします!カープ最高ー!サラマン最高ー!赤だいすきー!野球万歳ー!」

 投球スタイルは豪快だったが、性格は明るく温和でファンにもチームメイトにも愛された右腕。火の国球団は「山口翔引退試合・セレモニー(仮)」を来年2、3月に開催する予定としており、改めて山口本人が挨拶する場を設ける。詳細は後日発表される。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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