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“甲斐拓也の衝撃”こそ捕手の基礎。ソフトバンク細川亨・新3軍コーチが若鷹、育鷹に伝えたいこと

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンクに入団した細川氏(中央)、大西氏(左)と大越氏(右)

 ソフトバンクは8日に新入団・就任コーチの会見を行い、細川亨・新3軍バッテリーコーチもマイクの前に座った。

「お久しぶりです。9年ぶりにソフトバンクホークスのユニホームを着られるってことにうれしさを感じています。コーチ業(指導者歴)はまだ3年くらいですが、今まで培ったキャッチャーのところを特にしっかり強化して生かして、土台をつくっていきたいと思います」

2020年12月にタマスタ筑後で有志による「引退試合」が行われた。和田毅氏(左)や本多雄一・現コーチ(右)も駆け付けた。
2020年12月にタマスタ筑後で有志による「引退試合」が行われた。和田毅氏(左)や本多雄一・現コーチ(右)も駆け付けた。

 ホークスを黄金期に導いた名捕手が、指導者となり帰ってきた。

 現役時代は西武、ソフトバンク、楽天、ロッテの4球団で19年間プレーし、通算1425試合に出場。ベストナインとゴールデングラブ賞に2度ずつ輝いた。ソフトバンクには2011年から在籍。移籍1年目からリーグ優勝、日本一の原動力となるなど、在籍した6シーズンでリーグ優勝と日本一を3度ずつ経験した。

アマチュアで指導経験

 引退後はすぐに独立・九州アジアリーグの火の国サラマンダーズの監督を1シーズン務め、今年までの2年間は社会人・ロキテクノ富山でコーチとして指導に当たっていた。「ロキテクノを今年で辞めて少しゆっくりしようと思っていた」という。「中学生を教えることもあって、それが楽しくて。たとえば巨人では、西武時代に同僚だった片岡保幸氏が2024年に新設された中学生硬式野球チーム「ジャイアンツ U15 ジュニアユース」の監督に就任。楽天時代の同僚で火の国監督時代にも接点のあった島井寛仁氏も熊本で中学チームの指導をしている。

火の国サラマンダーズ監督時代(2021年4月)
火の国サラマンダーズ監督時代(2021年4月)

「自分も福岡に戻ってそのようなことを構築していければと考えていたところに、ホークスから連絡をいただきました。もう二つ返事。また、自分が言い出す前に『3軍』でと言われて、僕はそれもよかった。育成というか、しっかり基礎を教える方が好きなので」

 基礎の基礎。「捕手として座るところから、しっかり教えていきたい」と語った。それは極端な例えなのかと思っていたが、決してそうではないと会見後の取材で熱く語った。

捕手の「基礎の基礎」は座り方

「座り方、本当にそこなんです。僕、(甲斐)拓也を見たときに本当びっくりして。まだ育成で、雁の巣球場でやってたとき。自分が怪我で雁の巣に行った時に拓也がスローイング練習をしてたんです。誰かに訊ねたら育成の子だって言われて『え?』って。座り方が、自分が西武のときにずっと教わってきたのをやってたから。それができれば、キャッチャーは(暴投気味の投球などを)止められるんです。座るということは体の動作が止まっている状態じゃないですか。そこから動くのは難しいんです。それができる座り方があるんですが、拓也は自然とやってた。『これ誰に教えてもらったんだ?』って聞いたら『いや、ずっとこの感じです』と。その意味でも座り方っていうのは一番先にやっていきたい」

 細川コーチにとってソフトバンクで過ごした6年間は「自信を持たせてくれた時間でした。松坂(大輔)の『確信に変わった』じゃないですけど、本当に自分がやってきたことがこういうふうになるんだっていう、やってきたことに自信を持たせてくれた球団でした」と振り返る。それを今度はコーチとして、若鷹ならびに育成の鷹たちに還元する番だ。育成のホークスの重要なピースとして、次世代の扇の要を育てていく。

(写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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