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10日(木)は東京都心で雪のおそれ 横にのびた南岸低気圧は雪が降りやすい

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2月10日(木)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ作画、筆者加工)

 1月の大雪から一か月。再び、東京都心で本格的な雪となる可能性がでてきた。一週間前(30日)、東京の雪を話題にしたが、そのときに注目した南岸低気圧によって、どのくらい天気が崩れるのか、徐々にわかってきた。10日(木)は関東の広い範囲で、雪が降るおそれがあり、注意が必要だ。

わずかな降水でも、しっかり雪

 タイトル画像は10日(木)午前9時の予想天気図です。低気圧が関東の南海上に予想されています。そして、低気圧を取り巻くように、青で塗られたところは雨雲(降水域)です。低気圧の中心から離れた場所(九州~関東)にも雨雲が広がっていることに注目してください。

 この程度の雨雲ならば、適度なお湿りといったところですが、雪となると話は別です。わずかな降水でも、雪となれば、しっかり積もります。

雪を降らせる南岸低気圧の特徴

 10日の予想天気図を見て、あることに気がつきました。低気圧の閉じた等圧線(ここでは1016ヘクトパスカル)が東西にのびた、へん平な形をしています。黄線で示した縦と横の比率はおおよそ1対2です。

2月10日(木)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ作画、筆者加工)
2月10日(木)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ作画、筆者加工)

 こちらは先月(1月)、東京で10センチの雪が積もったときの地上天気図(上図)で、九州の南にある低気圧が南岸低気圧です。等圧線が閉じていないので、少々わかりにくいですが、低圧部が東西にのびています。縦と横の比率は2対3でした。

上図は2022年1月6日午前9時の地上天気図、下図は2018年1月22日午前9時の地上天気図(気象人より、筆者加工)
上図は2022年1月6日午前9時の地上天気図、下図は2018年1月22日午前9時の地上天気図(気象人より、筆者加工)

 そして、もうひとつは4年前の2018年1月の大雪です。東京では積雪が23センチに達しました。そのときの南岸低気圧も横にのびた形をしています(下図)。

約8割が横長タイプ

 東京都心に雪を降らせる南岸低気圧は横にのびた形が多いのでしょうか。2000年以降、日降雪量5センチ以上となった8事例を調べたところ、約8割にあたる7事例が横長タイプの南岸低気圧でした。

 実は気象庁の調査でも、東京地方に大雪をもたらした南岸低気圧の特徴として、低気圧が東西にへん平な形をしている場合が多いことがわかっています。今回はこれをなぞるように、独自に調べてみました。

なぜ、横長タイプは雪になりやすいのか

 気象庁の調査では横長タイプの低気圧が大雪になりやすい理由として、以下の3つを挙げています。

①低気圧の中心が関東から離れているため、暖かい空気が入りにくいこと

②低気圧の北側に雨雲が広がりやすいこと

③雪が降る時間が長くなりやすいこと

週間天気予報(2月5日17時発表 気象庁)、ウェザーマップ作画
週間天気予報(2月5日17時発表 気象庁)、ウェザーマップ作画

 東京では9日夜から、雨または雪が降り出し、10日はほぼ一日、湿った雪や冷たい雨となるおそれがあります。気温によって、雨か、雪か、天気が大きく振れてしまうので、今はどのくらいの雪になるのか、見通しが難しいですが、雪への備えは必要でしょう。

【参考資料】

牧野眞一、2014:平成25年1月14日関東地方南部の大雪事例、平成25年度予報技術研修テキスト、気象庁予報部、28-38.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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