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バルサの敗戦に見る自前の組織で一流選手を育て上げる限界

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ最終第6週で、バイエルンに0-3で敗れたバルセロナは、あえなくグループステージで脱落した。本大会に出場しながらベスト16入りを逃したのは1998-99シーズン以来になる。

 それは、クラブの創立100周年にあたる年の出来事だった。その時、競り合った相手はバイエルンとマンチェスター・ユナイテッドで、この三つ巴の対戦は、実力伯仲のまさにスペクタクルな好ゲームだった。

 印象に残るのは、撃ち合いとなったバイエルンとのホーム戦と、マンチェスター・ユナイテッドとのアウェー戦だ。ともにスコアは3-3。娯楽性満点の内容だった。「つまらない内容の1-0で勝利するなら、2-3で負けた方がマシ」と、こちらに言ってのけたのはヨハン・クライフだが、現地を取材すれば、それと同じ思考の人に数多く遭遇した。「敗れたけれど、試合そのものは面白かった。バルサらしい負け方だった」と。

 だが、バイエルンにホーム戦、アウェー戦ともに0-3で完敗し、格下であるベンフィカにも、アウェー戦で0-3と完敗した今回は、そうした余裕はさすがにないはずだ。

 1998-99シーズンと言えば、決勝戦の舞台はカンプノウで、対戦カードはマンチェスター・ユナイテッド対バイエルンだった。マンチェスター・ユナイテッドが土壇場でまさかの大逆転勝利を収めた劇的な一戦としてCL史に刻まれるが、この両チームにグループリーグで競り負けたバルサが、カンプノウという由緒正しいホームスタジアムを、決勝戦の舞台に提供することになった背景も、忘れ得ぬエピソードになっている。

 もちろん当時にもバルサの敗戦を、地団駄を踏んで悔しがる人はいた。その1シーズン前、1997-98シーズンにライバルのレアル・マドリーが、CLで32年ぶりの優勝を飾っていたことと、それは大きく関係していた。CLがスタートして5シーズン目。大会のステイタスが上昇する中でレアル・マドリーが優勝。それにバルサも続きたかったのだ。しかもクラブ創設100周年。決勝戦の舞台はカンプノウとなれば、CLへの期待感はいやが上にも高まっていた。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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