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各Jクラブ監督の是非論を、なぜ地方メディアは報じないのか

杉山茂樹スポーツライター
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 優勝監督賞と優秀監督賞。Jリーグアウォーズには監督表彰が2つある。J1の場合、鬼木達(川崎フロンターレ)が優勝監督賞を、リカルド・ロドリゲス(浦和レッズ)が優秀監督賞を、それぞれ受賞している。

 優勝監督賞が設けられたのは2017年から。一方の優秀監督賞はJリーグ発足当初から存在する伝統ある賞だ。とはいえ優勝監督賞が設けられるまで、優秀監督賞は最優秀監督賞という名称だった。

 Jリーグで最も優れた監督は誰なのか。一目瞭然になる仕組みだった。それが2017年に優勝監督賞ができたことで、権威があるのはどちらなのか一転、不明瞭になった。今季のナンバーワン監督は鬼木監督なのか。リカルド・ロドリゲス監督なのか。

 選手はハッキリしている。今季でいえば、レアンドロ・ダミアンが受賞した最優秀選手賞なるものがある。ベストヤングプレーヤーもある。審判も同様だ。最優秀主審賞、最優秀副審賞がある。最優秀育成クラブ賞というものもある。ナンバーワンを濁しているのは監督だけ。評論を避けている格好だ。最優秀監督を優勝監督以外から選べば角が立つ。2017年に最優秀が優秀へとトーンダウンし、新たに優勝監督賞が設けられた理由はそこにあると推察される。グレーにすることで丸く収めようとした。

 選定する側は、なぜそこまで監督に気を遣おうとするのか。及び腰になるのか。監督を評価、評論することを避けたいのだろう。サッカーの場合、確かに監督の評価は難しい。選手の評価も難しいが、監督の場合はそれ以上だ。優勝監督以上に光る監督がいても何ら不思議はない。

 だが、勝ち負け以外、善し悪しを示す明確なデータはない。評価はほぼ主観。選手の交代枠を使い切る監督ほどよい監督。とは、筆者が長年の取材を通して得た実感で、100%に限りなく近い自信を持っているが、それでも主観の域を脱し得ない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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