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誰を選ぶか。どの名前を歴史に刻み込むか。「賞」の価値、権威、格式は選者の選択センスで決まる

杉山茂樹スポーツライター
バロンドールを取り損ねたレバンドフスキー(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

 2021年。スポーツ界を席巻した1番の話題は何か。アメリカの大手通信社=AP通信は、大谷翔平を今年最も活躍したアスリートに選んだ。その前の年(2020年)が大坂なおみだったので、2年連続日本人選手が受賞したことになる。日本のメディアではなく、アメリカの通信社から高い評価を得たことに何より価値を感じるが、全世界的にはどうだろうか。

 野球の認知度は欧州では低い。大谷翔平より、大坂なおみの方が勝っていたとしても不思議はない。野球よりテニス。そのテニスと双璧の関係にあるのがゴルフだ。今年はそのゴルフ競技の中で最も権威があるとされるマスターズで、松山英樹選手が見事優勝を飾った。国民栄誉賞ものの快挙。ビッグニュースだと思う。大谷翔平が国民栄誉賞を辞退したことは話題になった。昨年、大坂なおみが国民栄誉賞を逃したことも、それなりに話題になった。国民栄誉賞をあげるべきだとする声が少なからず湧いた。

 だが今年の松山英樹に、そうした声は湧いていない。年末のスポーツ界は、大谷翔平一色に包まれている。今年のゴルフ界は、日本人の父親とフィリピン人の母親を持つ笹生優花も、全米女子オープンを制している。畑岡奈紗をプレーオフの末に破っての優勝という、おまけ付きだった。笹生優花に国民栄誉賞を与えるか否かという話題は、彼女がフィリピン人として出場していたこともあり、あまり湧かなかったと記憶するが、少なくとも畑岡奈紗と繰り広げたプレーオフは、国民栄誉賞級だった。今年の日本スポーツ一番のハイライトゲームに値した。大谷翔平一色に染まるこの年末のスポーツ界の空気に、ゴルフ関係者は思うところはあるはずだ。

 それはともかく、日本のサッカー界には上記に匹敵する画期的な話題はなかった。なでしこジャパンがW杯で優勝し、国民栄誉賞を受賞したのは2011年になるが、それが最初で最後だ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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