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猛暑はノルウェーやスウェーデンでも 打撃を受ける農家の精神的負担

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
オスロフィヨルド沿いで海水浴する人々 Photo: Asaki Abumi

本来であれば涼しく短い夏が恒例の北欧で、猛暑が止まらない。

スウェーデンでは50年代以来の深刻な山火事が発生。緊急対策時に備えた消防用機材が不足していることから、欧州各国から火消しのためのヘリコプターが飛んでいる。26日、同国はNATO加盟国にも救援を求めることが報道された。

スウェーデン・ノルウェーの両国では、農家が最も目に見える被害を受けている。

長引く干ばつによって、草などが育たず、家畜の飼料が不足。空腹になる前にと、家畜が予定よりも早く処分されている 。

他にも、ノルウェーでは以下のような事態が発生

中心部の公園でテントで野宿する人も Photo: Asaki Abumi
中心部の公園でテントで野宿する人も Photo: Asaki Abumi
  • 水不足で、電気代が通常の30%以上値上げ
  • 今後は牛乳などの乳製品が、店頭で品不足となる恐れ
  • 野菜の成長にも打撃を与えている。その一方、キュウリや、サクランボ、ナシなどの果物は豊作となるかもしれない
  • 水温の上昇で、川でも野生サーモンなどの魚の量が減っている
  • 雨が少ないことから、通常であれば現地の人々に嫌われている、庭の植物を食べる巨大な「ナメクジ」が、激減
  • 現地の人が嫌うスズメバチが多く発生。「ビールやジュースを外で飲む際には、ハチが缶の中に入ってしまう可能性もあるため、注意」とNTB通信社は報道
  • 首都オスロでは、一般市民の庭での水やり、屋外での焚火が一部規制されている。
コーヒーの消費量が高い北欧だが、これまではホットで飲むのが一般的だった Photo: Asaki Abumi
コーヒーの消費量が高い北欧だが、これまではホットで飲むのが一般的だった Photo: Asaki Abumi

人々の暮らしにも変化を与えている。

ノルウェーでは、まだまだ「アイスコーヒー」は日本と比べて「新しい飲み物」。だが、猛暑のために、大人気。「通常は、アイスコーヒーは全体の売り上げの4~5%を占めるだけだが、今は60%を占める」と現地のカフェチェーンStockflethは、アフテンポステン紙に答える。

例年よりも、日焼け止めクリームなども売れているという。

農家の精神的負担が心配される

大量の家畜が処理されているため、ノルウェー現地のスーパーは、農家を支援するために、できる限りノルウェー産を店頭で販売すると発表。

農家にこのような危機が訪れるのは、1947年以来と伝えられている。

本来、7月はのんびりとした夏休みの時期。しかし、家畜を処分しなければいけない・野菜などが育たない農家にとっての経済的・精神的打撃は大きい。

農業団体らは農業・食糧大臣との面会を求め、政府はいくつかの緊急支援対策案を発表。

団体らは、現地メディアなどを通して、精神的負担を抱えているであろう農家らに、下記のような対策を呼び掛け、消費者にも理解を求めている。

一例

誰かが助けてくれるまで、待ったりしない。つらいと感じているのは、あなただけではない。自分から「助けて」と声をだそう

自分のことをまず大切に。時にはコーヒーを飲んで休憩したり、テレビを読むなどしてみよう

周囲に困っている人がいるなら、明日声をかけるのではなく、今声をかけてあげよう

出典:ノルウェー農業サポート団体

27日は、ノルウェー各地で30度を超える予報がでている。首都オスロでは、1901年に記録した最高35度を超えた場合、117年ぶりの記録更新となる。

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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