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パンケーキ人気店ランキングへの違和感をたぐる

東龍グルメジャーナリスト

パンケーキ人気店ランキング

2015年1月6日に「みんなのパンケーキ部」から「全国1400店から選ばれたパンケーキ人気店ランキング2014」が発表されました。プレスリリースが出され、PR TIMESなど各サイトで配信されているので、読んだ方も多いのではないでしょうか。

パンケーキはもともと注目しているスイーツのうちの一つで、「みんなのパンケーキ部」も以前から知っていて興味があったので読んでみました。

カフェ・カイラ表参道店
カフェ・カイラ表参道店

人気店ランキングのトップ5は以下の通り。どこもおいしいパンケーキを食べられる店なので、順位は納得できるものです。

  1. カフェ・カイラ表参道店
  2. クリントン ストリート ベイキング カンパニー
  3. Eggs'n Things 原宿店
  4. bills 表参道
  5. RAINBOW PANCAKE

ただ、「人気店ランキング2014」と大きく謳われているだけに、どのようにして「全国1400店から選ばれたパンケーキ人気店」のランキングが算出されたのか気になりました。

すると、以下の説明を見付けました。

本ランキングは「みんなのパンケーキ部」のiPhoneアプリから2014年(2014年1月1日~12月15日)に投稿された1万8000件のユーザー投稿を店舗ごとに集計しランキング化したものです。

集計方法

クリントン ストリート ベイキング カンパニー
クリントン ストリート ベイキング カンパニー

「ユーザー投稿を店舗ごとに集計」とありますが、「みんなのパンケーキ部」のiPhoneアプリからは写真とコメントしか投稿できず、点数や「おいしい」「ふつう」といった評価はありません。それだけに、どのような集計を行ったのか疑問を抱きましたが、1位となったカフェ・カイラ表参道の説明を読むと、その謎は解けました。

「カフェ・カイラ表参道」が初の首位を獲得

2014年もっともユーザーからの投稿数が多かった人気店は「カフェ・カイラ表参道」。山盛りフルーツの「カイラ・オリジナル・パンケーキ」が看板メニュー。2014年8月に2号店となる舞浜・イクスピアリの2号店がオープン。これに向け2月26日のフジテレビ「ホンマでっか?!TV 」、3月3日のテレビ朝日「お試しかっ!」の人気コーナー「帰れま10」など各種メディアに登場、例年人が動くゴールデンウィークとも重なり行列ができる日が続いた。

ここには「2014年もっともユーザーからの投稿数が多かった」とはっきり記載されています。つまり、「ユーザー投稿を店舗ごとに集計」というのは「ユーザー投稿の数」だったのです。

iPhoneアプリからだけの投稿

Eggs'n Things 原宿店
Eggs'n Things 原宿店

ざっくりとした概算になりますが、日本におけるスマートフォンの普及率が約50%、このうちiPhoneの比率が約50%程度なので、iPhoneユーザーは日本全体で25%いることになります。iPhoneアプリだけが対象なので(Android版アプリがない)、4人に1人しか「ユーザー投稿」が集計されない一方、1人が1つの店に対して何度も「ユーザー投稿」できる仕様なので、偏りが生じることでしょう。

そもそも、「ユーザー投稿の数が多い」店は、訪問者が多く写真を撮影し易い店であることは確かですが、これがそのまま人気であると言うのは難しいかも知れません。「ユーザー投稿の数」だけではなく、店のページビューや検索された数も算出指標に加えた方がよかったのではないでしょうか。

ちなみに、それぞれのお店をYahoo!検索で調べてみると、記事執筆時点では、以下の検索結果数となります。

検索結果数だけでみてみると、「bills 表参道」や「RAINBOW PANCAKE」は数が多いので、印象がだいぶ違います。

人気の謳い方

bills
bills

他サイトでは、「人気」をどのように謳っているのでしょうか。

同じグルメでは、食べログの場合には「総合ランキング」「夜のランキング」「昼のランキング」はレビュアーの採点をもとに算出されており、「ユーザー投稿」に該当する「レビュー数」のランキングは「口コミ数順」となっていて「人気順」と表示されていません。

Eコマースでは、Yahoo!ショッピング楽天(ページのタイトルに記載)も「人気商品」は「売れ筋商品」ということになっています。

ブログを見てみると、Amebaの「人気ブログランキング」では、説明によると「アクセス解析に基づいた集計」とあるので、ページビューということになるでしょう。

選出方法とランキング名

RAINBOW PANCAKE
RAINBOW PANCAKE

ここまで書いてきましたが、話は単純で、ランキングでは選者個人の判断や何かのデータをもとにして店を選ぶことになりますが、選出方法とランキング名にずれがあると違和感を覚えるということです。

「トップ10」「5選」「ベスト3」といったランキングものは定番であり、多くの人が関心を持って読みます。

パンケーキ好きとして「全国1400店から選ばれたパンケーキ人気店ランキング2014」を読んでみたら、人気ランキングというよりも自前iPhoneアプリからの「ユーザー投稿数ランキング」であり、「選ばれた」という感じでもなかったことにがっかりしたのですが、みなさんはいかがだったでしょうか?

追記

反響をいただいて、「パンケーキ人気店ランキングへの違和感をたぐる、それをたぐったその先」という続編を書いたので、よろしければご覧ください。

参考

パンケーキについてはスイーツ図鑑にも詳しく掲載されていますので、ご参考にどうぞ。

元記事

レストラン図鑑をご参考にしてください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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