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二刀流で先発出場する大谷翔平に期待したいオールスター『スピード三冠王』

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
オールスター戦に二刀流として先発出場する大谷翔平(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 MLBオールスターゲームに先発投手&1番打者として『二刀流』で先発出場するロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。

 それぞれのファンがそれぞれの思いを持って大谷のプレーを見るだろうが、筆者も二刀流の大谷に達成してもらいたい記録がある。それはオールスターゲームでの『スピード三冠王』だ。

『スピード三冠王』とは?

 『スピード三冠王』とは筆者が勝手に作った造語だが、投、打、走の3部門で、それぞれ最高速度を達成することを指す。

 スタットキャストの計測で、『投』では球速、『打』では打球速度、『走』では走塁速度で試合最高速度を出せれば『スピード三冠王』の達成とする。投、打、走の3部門でメジャーリーグ・トップクラスのスピードを誇る大谷ならば、達成可能な記録のはずだ。

最高球速

 大谷の今季の4シームの平均球速は95.5マイル(約153.7キロ)で、これはメジャー全体で109位タイ。1位のジョーダン・ヒックス(セントルイス・カージナルス)の4シーム平均球速は100.5マイル(161.7キロ)だ。

 だが、今季の大谷はスピードを抑えているが、それでも100マイル超えを9度計測しており、最速は101マイル(約162.5キロ)だ。

 ちなみに今季のメジャーで101マイル以上を計測した投手は、大谷を含めて14人しかいない。

 101マイル以上の速球を最も多く投げているのは66度も計測しているエマヌエル・クラセ(クリーブランド・インディアンズ)だが、彼はオールスターに選ばれていない。

 先発投手ながら101マイル以上を27度も計測しているジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)と2度計測しているゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)も出場を辞退しているので、大谷が最速スピードを記録するチャンスである。

 最大のライバルとなりそうなのは、今季メジャー最速タイの103マイル(約165.8キロ)を出しているアロディス・チャップマン(ヤンキース)。クローザーのチャップマンは1イニングを投げることだけに集中すれば良いので、ペース配分をしながら長いイニングを投げる先発投手に比べて公式戦でスピードを出しやすい。オールスターでは先発投手も1イニングなので、リリーフ投手も先発投手も条件は同じ。1イニング限定で、オールスターの舞台でアドレナリンが出ている大谷が全力投球をするのならば、チャップマン超えも十分にあり得る。

最高打球速度

 大谷の今季の打球平均速度は93.7マイル(約150.8キロ)で、メジャー全体で5位。96.3マイル(約155.0キロ)で平均速度1位のジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)はオールスターに選ばれなかったが、95.8マイル(約154.2キロ)で2位のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)と95.2マイル(約153.2キロ)で3位のブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は大谷と共にアメリカン・リーグの先発メンバーに名前を連ねている。

 平均ではなく今季最速ランキングだと、1位はスタントンの120.2マイル(約193.4キロ)。2位は大谷とジャッジが119.0マイル(約191.5キロ)で並んでいる。

 昨日のホームラン・ダービーでは優勝したピート・アロンソ(メッツ)と並ぶ117.0マイル(約188.3キロ)を計測して打球速度では1位タイだった大谷。

 最高球速はヤンキースのチャップマンとの争いになりそうだが、最高打球速度はヤンキースのジャッジとの争いとなりそうだ。

最高走塁速度

 スタットキャストによると、大谷の今季の平均スプリント速度は秒速28.8フィート(約8.8メートル)で、時速にすると約32キロ。これはメジャー全体では41位タイとなる。

 平均スプリント速度1位は秒速30.8フィート(約9.4メートル)のジョージ・マテオ(サンディエゴ・パドレス)だが、マテオはオールスターゲームに選ばれていない。

 オールスターゲーム出場メンバーの中で最速は平均30.7フィート(約9.3メートル)でメジャー全体では2位タイのトレイ・ターナー(ワシントン・ナショナルズ)。ターナーは「ボルト」と呼ばれる秒速30フィート以上をメジャートップの68度も計測しており、現役メジャーリーガーで最も速い選手だ。大谷の今季のボルト達成回数は3回で、ターナーに大きく引き離されている。

 そこで、走塁部門はスプリント速度ではなく、打席から一塁までの到達時間で勝負したい。

 右打者のターナーの今季平均時間はメジャー8位タイの4.12秒。左打者の大谷はメジャー4位タイの4.09秒。打席から一塁までの平均到達時間でメジャー上位10選手の中で、オールスターに出場するのは大谷とターナーの2人だけなので、大谷に勝算はある。

『スピード三冠王』達成なるか?!

 球速、打球速度、打席から一塁までの到達タイムの3部門全てで試合最高を記録する『スピード三冠王』は大谷にしか挑戦できない記録。どの部門にも強力なライバルが立ちはだかり、三冠王達成の道のりは険しいが、大谷がベストなパフォーマンスをみせれば、達成可能である。

 あと数時間後に始まるオールスターゲームでは、大谷の『スピード』に注目してもらいたい。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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