大谷翔平がプレゼントされたNFLラムズの背番号17番を背負ってプレーする選手は……
これまでにNHL(アイスホッケー)とNBA(バスケットボール)の試合観戦には訪れたことがあった大谷翔平だが、アメリカ4大スポーツの中で最も人気の高いNFL(アメリカンフットボール)の試合だけは、これまでに訪れたことがなかった。
まだ日本でプレーしていた2016年に、テレビの対談企画で「生まれ変わっても今のスポーツをやりたい?」と聞かれた際に、「アメフトとかやってみたい」と答えたように、大谷はアメフトに興味を持っていたはずだが、今まで生観戦のチャンスはなかった。
ドジャースと10年間総額7億ドルの歴史的契約を結んでから1週間後の現地12月21日(日本時間22日)、大谷はSoFiスタジアムのフィールドに立っていた。
この日、行われたのはロサンゼルス・ラムズ対ニューオリンズ・セインツのNFLの試合。試合前には17番のラムズのユニフォームを贈られ、笑顔を見せた。
大谷がエンゼルス時代から背負っている背番号17番は、ドジャースでも続けて着用するので、ラムズは17番のユニフォームに大谷の名前を入れた特別ユニフォームを用意。今、アメリカ・スポーツ界で最も注目を浴びているスーパースターを歓迎した。
ラムズの背番号17番は空き番号ではなく、新人選手が着けている。
今年の新人ドラフトでラムズから5巡目指名を受けて入団したワイドレシーバーのプカ・ナクアだ。
このナクアだが、5巡目指名と入団当時はあまり期待されていなかったが、開幕戦で10捕球、119ヤードを獲得して勝利に大きく貢献。突如現れたシンデレラ的な選手として、人気急上昇中である。
今季2試合目には、NFLの新人記録となる15回のパスを捕球。デビュー戦から2試合続けて、10捕球以上、100ヤード以上を記録した初めてのルーキーにもなった。
身長185センチ、体重93キロのナクアは、193センチ、95キロの大谷よりも一回り小さいが、スピードとパワーを兼ね備えた上に、驚異的な捕球能力の持ち主でもあり、NFLで活躍を続けている。
大谷が観戦に訪れたセインツ戦では、同じ背番号17番を背負うスーパースターに刺激されたのか、9度のパス・キャッチで自己最多となる164ヤードを記録。これで今季2試合を残して、シーズン96捕球、1327ヤードとしている。
NFLの新人パス捕球回数記録は、2021年にマイアミ・ドルフィンズのジェイレン・ワドルが記録した104回。また、新人のパス獲得ヤード記録は、1960年にヒューストン・オイラーズ(現テネシー・タイタンズ)のビル・グローマンが記録した1473ヤード。ナクアはどちらの記録も塗り替えそうで、とくにグローマンが持つ新人パス獲得ヤード記録を更新すれば、実に63年ぶりの快挙となる。
ナクアの大躍進は、クオーターバック(QB)のマシュー・スタッフォードの存在を抜きに語れない。
2009年のドラフト全体1位指名選手であるスタッフォードは、2021年に大型トレードでラムズへ移籍してくると、移籍1年目にチームをスーパーボウル制覇に導いたエリートQB。
ワイドレシーバーの使い方が非常に巧みで、NFL歴代1位であるシーズン1964パス獲得ヤードを記録したカルビン・ジョンソン(2012年、デトロイト・ライオンズ)の相棒でもあり、歴代2位の1947ヤードを記録したクーパー・カップ(2021年、ラムズ)のQBもスタッフォードである。
スタッフォードは高校まではアメフトと野球の二刀流選手だったが、高校のときのチームメートが、昨季までドジャースの絶対的エースとして君臨していたクレイトン・カーショウ。カーショウも高校では野球とアメフトの二刀流選手で、アメフトではセンターとして、QBのスタッフォードにボールをスナップしていた。
2人は6歳のときからの幼馴染みで、小学生のときにはサッカーやバスケットボールもチームメートとして一緒にプレーしていた。
ロサンゼルスの背番号17番と言えば、誰もが大谷翔平を思い浮かべるが、ナクアが今季のような活躍を来シーズン以降も続ければ、大谷と並ぶLAの17番になれだろう。
次に2人が会うのは、ドジャー・スタジアムでナクアが始球式を務めるとき? そんなチャンスが巡ってくれば、今度は大谷がナクアが観戦する前で特大ホームランを放つ番だ。
カーショウとスタッフォードは、2020年にカーショウがドジャースでワールドシリーズを制覇した翌年の21年シーズンに今度はスタッフォードがラムズでスーパーボウルを制覇している。
大谷とナクアもドジャースとラムズを頂点に導いて、将来的には両方の背番号17番が永久欠番になることをロサンゼルスのファンは願っている。