法律をつくる方法・・・政治・政策リテラシー講座14
日本では法律をつくる方法には、次の2つがあります。
一つは、内閣(つまり行政)がその法案つくる内閣提出法案(閣法)というやり方です。もう一つが議員が法案をつくる議員立法というやり方です。
日本は、行政(つまり官僚)中心の法律や政策づくりがなされていますので、法案の多くは、行政(つまり内閣)によってつくられているのが現状です。しかしながら、最近は議員立法が増えてきています。
日本では、議院内閣制がとられていますので、与党(政権党)が内閣をつくっています。そのために、法案は行政(内閣)が作成してくれるので、与党およびその所属議員が、議員立法でわざわざ法案つくることやその必要性が低いのが現状です。この結果、以前は野党が政治姿勢を示したり、政治的パフォーマンスとして、その法案が議員立法として提出されることが多かったのです。
しかしながら、閣法の場合、先例主義の強い省庁の縦割り構造の中から法案が作成されますので、従来の政策の枠を大きく変えたり、省庁の枠を超えてしまうような、あるいはその両方の性格のある法案は、閣法としてつくられることが現実には難しいのです。
他方、社会が短期間に大きく変化してきており、そのような状況に対応できるような新たなる法律の必要性が高まってきています。
それらの意味で、議員立法の役割が高まってきているのです(注1)。また市民が法案づくりに関わる議員立法も増えてきています(注2)。
なお、議員が法案を提出するには、発議(提案)者のほか一定数以上の賛成者が必要です。衆院では20人(予算を伴う法案の場合は50人)、参院は各10人(予算を伴う法案の場合は20人)です。議員立法をしやすくするためにも、その要件を緩和し、法案を提出しやすくすべきだという議論もあります。
日本における法律のつくり方について、さらなる理解のためには、次の本を参考にされてみてください。
・『ニッポンの変え方おしえます…はじめての立法レッスン』高橋洋一監修・政策工房著、春秋社、2013年
(注1)議員立法でも、その実態は、行政の官僚などが作成していたり、議員の法案作成のサポートしていることもあります。
(注2)次のサイトなどを参考にしてください。
・「<国会用語>議員立法ってどれくらい成立しているの?/The Page」
・万年野党