【パリ】ボザール(国立高等美術学校)が「エルメス」のフィットネスジムに変身
フランスでは、新型コロナの新規感染者数が日増しに増え、12月3日時点では、1日およそ5万人前後という数字が発表されています。12歳以上のワクチン接種率は88.3パーセント。3回目、いわゆるブースター接種は、これまで2回目の接種から6ヶ月後でしたが、5ヶ月後からに早まり、新しく接種所を設けるなど、少し前までのやや楽観的なムードから様子が変わってきています。
加えてパリはこのところ冴えない空模様。気が滅入る要素を探せばきりがないのですが、街のクリスマスイルミネーションやカフェの活況などに、12月らしい高揚感があるのが救いです。
そんななか、高級ブランド「Hermès(エルメス)」のしゃれたイベントが開かれています。
「Hermès Fit(エルメス フィット)」と題したこのイベントは、すでにニューヨークで大成功をおさめ、東京をはじめ世界各地でも行われているので、すでにご存知の方は多いかもしれません。
「カレ」(スカーフ)を使ったヨガ、ベルトを使ったストレッチなど、「エルメス」のおなじみのアイテムとスポーツを組み合わせつつ、会場全体を遊び心のあるスポーツジム、しかも「エルメス」ならではの世界観いっぱいの空間にするというものです。
本拠地パリでは12月1日から5日までの開催。舞台になっているのが、なんと、名門ボザール(国立高等美術学校)なのです。
サン・ジェルマン・デ・プレ地区、ボナパルト通りの正門から石畳の中庭を抜けた先にある歴史的建造物。それが今回の会場です。
建物の内側、ガラス張りの天井に守られた中庭部分が「エルメス フィット」のジム。ボクシングのリング、卓球台、サンドバッグ、フィットネスコーナーなどが作られ、壁には「エルメス」のシューズ、カレ、ブレスレット、小物などの商品が展示されています。
ネットで日時を予約すれば無料で入場できるシステムで、それぞれのコーナーに参加してスポーツ体験ができるほか、商品も買えるようになっています。
ブランドのテーマカラーのオレンジ、しかもビタミンカラーと言いたくなるようなビビッドオレンジのウエアに身を包んだスタッフは、上品でしかも気さくな雰囲気。私も含め、興味津々で見ている来場者に「どうぞ、参加しませんか?」と誘ってくれます。
ここ数年、高級ブランドが無料の展覧会やイベントをすることが少なくありませんが、今回の「エルメス フィット」は参加型というさらに踏み込んだ形。傍観者として楽しむというのももちろんOKで、見ているだけでも会場の躍動感に染まっていって、気持ちが上がるような効果があることは確かです。
ハイブランドが創造する新しいカルチャーと時代。コロナで沈みがちな世相だからこそなお、ブランドの元気ぶりが際立って見えるような気がしました。