Yahoo!ニュース

ミソフォニア(音嫌悪症)やクレプトマニア(病的窃盗症)を知らないカウンセラーの多さに憂いを感じます。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

初めてご来室されたクライアントから、「私、クレプトマニアなんです」と言われた時、私は思わず、「えっ、クレプトマニアって何ですか?」と聞き返しました。そして、「病的窃盗症のことです」と教えられた時は、私自身、随分恥ずかしい思いをしたものです。まだまだ自分は勉強不足だなあって痛感したものです。←かれこれ10年ほど前のことです。この頃、まだまだ日本では、クレプトマニアという言葉は浸透しておらず、当時、この言葉を知っているカウンセラーは、少なかったと思います。

この記事をお読みの方で、「初めてクレプトマニアという言葉を聞いた」とおっしゃるカウンセラーは、明らかに勉強不足です。恥を知って下さい。もう少し、日頃から勉強するよう心掛けていってください。

「クレプトマニア」とは、


窃盗という行為に依存してしまい、自分では止めることができない精神疾患です。その行為自体は大きな金額ではないことが多いです。お金が足りなくて盗む利益目的の窃盗とは違い、お金を持っているにも関わらず、盗んだ時の快感を味わうことを目的とした窃盗だ…という特徴があります。

盗んだ物自体は、本人が欲しかった物というよりも、そこまで必要としていない物が多いといった特徴があります。そこで、自分で使うことはなく、ご自宅に置いていたり捨てたり、中には盗んだあとにお店に返す…という行動を取るクレプトマニアの人もいます。

また、窃盗による一時的な快感が忘れられずに繰り返したり、その後に罪悪感を抱き、深く反省したりします。しかし、依存症の病気であるため、自分では衝動を抑えられないのがクレプトマニアの特性です。

有病率は、
万引きで逮捕された人の、およそ4~6%です。一般人口における有病率は、およそ0.3%~0.6%です。女性と男性の比率は、3対1ぐらいで、女性のほうが多いです。

上記から、1,000人に3~6人が、クレプトマニアだということがわかります。
統合失調症患者(有病率は、100人に1人弱)に比べても、非常に少ないことがおわかりいただけるかと思います。
実際私も、自分のカウンセリングルームでは、2人(そのうちの1人は、疑わしかっただけの人)しか会ったことがありません。

クレプトマニアを治すには、認知行動療法がいいという説もあるのですが、私は2人とも、来談者中心療法で寛解させることが出来ました。

続いて、「ミソフォニア」とは、

特定な音が嫌いな人のことです。聴覚過敏とは、また少し違います。

下記の特徴を持っている方は、ミソフォニアである可能性が高いです。
1.その音が非常に気になって落ち着かない。
2.嫌いな音を聞くと、イライラする。
3.音が出ている場所にいられないほどの嫌悪感を覚える。
4.音を出している人に対し、憎しみに似た感情を抱く。
5.音が聞きたくなくって、音を出している人を攻撃したくなる。

ミソフォニアの人が苦手とする音
1.鼻をすする音。
2.咳・くしゃみ・咳払い・ゲップ。
3.クチャクチャという咀嚼音・飲み込む際のノドの音。
4.アメをなめる音。
5.シャカシャカという歯磨きの音。
6.パソコンのキーボードを勢いよく叩く音。
7.赤ちゃんの泣き声。
8.独り言・ささやき・コソコソ話。
9.鼻歌
あと、音とは直接関係ありませんが、ミソフォニアを抱える多くの人は、貧乏ゆすりをする人が大嫌いです。

クレプトマニアは、そもそも世の中に数少ないですから、それを知らないカウンセラーがいるのは仕方がないと思うのですが、ミソフォニアという言葉を知らないカウンセラーは、勉強不足でけしからんなあ…と私は思います。

というのは、ミソフォニア(音嫌悪症)の有病率は、諸説ありますが、20%だと言われているからです。そう、軽い重いはありますが、5人に1人がミソフォニアなのです。

先日、私は、ある著名なカウンセラー(売れている本もたくさん出している大先生)の講演会に行ったのですが、講演途中で帰って来ました。そして、「もう2度と、○○先生の講演会やセミナーには参加しないぞ」と誓いました。さらに、「この先生、本当に心理臨床やっているのかなぁ…」とも思いました。
もしもやっているとしたら、この先生は、5人に1人のクライアントに大きな苦痛を与えていることになります。「こんな著名なカウンセラーにも関わらず、ミソフォニアを知らないなんて…」という驚きの気持ちで、私はいっぱいです。
そう、その著名な心理カウンセラーの大先生は、喋りながら、ときおり大きな音を立てながら、鼻をすするのです。何度も何度もです。私は、心の中で、「鼻水が垂れそうであるのなら、さっさと鼻かんでくださいよ」と叫びました。

私は、自分のクライアントが、自分の嫌いな音を出すことに関しては、さほど気にならないです。何故なら、クライアントの話の内容や声や仕草、クライアントの出す音に集中しているからです。← 逆に、集中しないといけないですよね。

ちなみにミソフォニアを治す方法は、今のところありません
メンタルクリニックに行っても、ほぼ無駄足に終わることが多いです。
でも、ミソフォニアの苦痛を緩和させる方法は幾つかあり、私(竹内成彦)は、それを駆使させながら、今日も心穏やかに生き抜いています。

カウンセラーと名乗るのであればクレプトマニアおよびミソフォニアという名前を、どうぞ知っておいてください。これは、私の祈りにも似た願いです。
私もカウンセラーとしては、中堅からベテランの域に差し掛かって来ました。今日は、先輩風を吹かして、生意気言って申し訳ございませんでした。

それにしても、
クレプトマニアとかミソフォニアとか、そうね、確かに、覚えにくい名前だよね。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

竹内成彦の最近の記事