長年に「渡る」?「亘る」?漢字でどう書くか意外と知らない言葉3選
メールや報告書などの文章を書くとき、「これって漢字でどう書くの?」と悩んだ経験はありませんか?今回は、とくにどう書くか悩みがちな表記3つについてご紹介!
①「長年にわたる」の「わたる」
こちらは、「長年にわたる取り組み」「当社の業務内容は多岐にわたる」といったように、ビジネスシーンでもよく使われる表現です。この「わたる」、「渡る」と書いてしまいがちですが、実は「亘る」(もしくは「亙る」)と書きます。
しかし「亘」「亙」は常用外の漢字のため、一般的にはひらがなで表記します。そのため漢字を覚えておく必要はないかもしれませんが、今後、範囲や期間について「わたる」と書きたい場合にPCの予測変換で「渡る」と出てきたら、ひらがなに直したほうがベターと覚えておくとよいでしょう。
②「規則にのっとる」の「のっとる」
こちらは、漢字で「則る」(もしくは「法る」)と書きます。ビジネスシーン以外でも、「スポーツマンシップにのっとり~」などという言い回しでなじみのある言葉ですね。「のっとる」は「則(のり)をとる」からきており、「規準・規範として従う」という意味で使われます(参考:則る/法る(のっとる) とは? 意味・読み方・使い方、則る/法る(のりとる) とは? 意味・読み方・使い方)。
「則る」「法る」という読み方は常用漢字表に載っていないため①と同様、ひらがな表記が一般的。しかし、たとえば求人広告などでは「社会保険は法令に則り適用」という表記もよく見かけますよね。すっきり見せたいときや文字数制限があるときはあえて漢字を使うのも効果的なので、シーンに合わせて使い分けてみましょう。また、間違っても「乗っ取る」と混同しないよう要注意!
③「部長をはじめとする皆様」の「はじめ」
最後は、多くの中で代表的なもの・主なものを挙げるときに使うこちらの表現。まず結論からお伝えすると、このような場合は「はじめ」とひらがなで表記するのがベター。漢字で書くのであれば「始め」「初め」のいずれかですが、どちらが正しいかというと諸説あり(たとえば文化庁による「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)P27では「始め」をあてる、goo辞書では「初め」と書く、とされています)、どちらも誤りとはいえません。
ちなみに、毎日新聞校閲センター『校閲至極』(2023年、毎日新聞出版)によると、毎日新聞用語集ではひらがな表記がルールになっています。なお、そう決まった経緯ははっきりしないとのこと。しかし本書では、ひらがな表記が一般化したのは、その方が読者に誤解を与えないからでは?という興味深い記述がありました。
「読む人にとって意味が伝わりやすい」という面でも、やはりひらがなで書くのがおすすめですよ。
「これって漢字でどう書くの?」は、そのままにせず調べてみよう
最後まで読んでくださりありがとうございます!今回の記事が、あなたが文章を書くときに少しでも役立てば幸いです。今回紹介した3つ以外にもどう書くのか悩むものがあれば、「正しいのは?」「一般的なのは?」「わかりやすいのは?」という視点で調べてみましょう。きっと学びがあるはずですよ♪