【食品ロス問題】食品寄付マッチングサイトで、NYは大量のゴミを減らせるか?
日本でもアメリカでも、大量の食品廃棄が問題になっている。
まず飲食店での食べ残しの廃棄にかんして、アメリカではオーダーしたものを食べ残した場合に持ち帰るのが一般的だから、アメリカは日本よりまだマシかもしれない。(たとえ生モノでも持って帰ることができる)。残したものは何も言わなくてもサーバーに「持ち帰るか?」と聞かれ、使い捨ての箱に入れて持たせてくれる。とても理にかなった方法で、私自身も気に入っている。
次にレストランやカフェ、パン屋などの飲食店、そしてスーパーや食料品店など小売店での、残った(まだ食べられる)食品廃棄については、日本と同様にアメリカの飲食関係者からも「難しい」という話をよく聞く。食品を捨てるのは罪だと理解しつつも、再利用したり寄付する場所を見つけるのは時間と忍耐が必要で大変骨の折れることがその理由らしい。
それでもできることはしようと、さまざまな取り組みがなされている。例えばブルックリンでレストラン2店と鮮魚店を経営する日本人オーナーの原口雄次さんは、鮮魚店「Osakana」にセントラルキッチンの機能も持たせ、食材を有効利用している。売れない魚の頭などは、レストランで提供するラーメンのブロースとして使いわけていて「捨てる部位はありません」と語った。
またベーグル店「Bergen Bagels」は、食料を貧困者に提供する団体、City Harvest(シティハーベスト)と提携しており、売れ残りのベーグルをその日のうちに寄付していると話した。
食べられる食品ゴミを拾って再利用するツアーも
ニューヨーク市が主導する「Donate NYC」
本格的にゼロウェイスト(廃棄ゼロ、モノを粗末にしない)運動に取り組んでいるニューヨーク市。ドネート(Donate )NYCで、3月よりソフトローンチしていたフード・ポータル・プロジェクトが、本格的にキックオフした。
これは、食品の売れ残りを廃棄しようとしている飲食側と、City Harvestやコミュニティセンターのような空腹の人々のための非営利団体を結び付けるマッチングサイトだ。両者はDonateNYCのウェブサイト上で登録し、寄付品のカテゴリーや場所などをベースにアルゴリズムを利用して、「寄付しやすい」&「受け取りやすい」仕掛けになっている。
寄付品として、惣菜など調理済み食品から、缶詰やパッケージ食品、野菜や果物までさまざまな食品が受け付けられるが、厳しい安全基準も設けられている。例えば寄付側は、卵や牛乳、ナッツ類などを含むものを必ず記載する必要があり、保管や搬送などにおいても安全に行われるように注意が必要など。
DonateNYCを運営するニューヨーク市の保健衛生局の再利用、寄付の担当シニアマネージャー、Eszter Csicsai氏は、地元紙『amNewYork』の取材に対して、食品寄付についてハードルがあり、誰もが簡単にできることではなかった実情を話した。
「食品救済団体の大手は食品寄付の受け付けの最低量を設けています。また彼らは必要経費を負担しません。大量にはないけど廃棄せざるを得ない飲食業者にとって、DonateNYCが強い味方になるでしょう」
また寄付を受け取る側として、ブロンクスの非営利団体、The Kingsbridge Heights コミュニティセンターの開発ディレクター、William Littleton氏は「我々は毎日400食を提供していて、利用している人の76%がいわゆる貧困層以下の生活をしています」とコメントし、DonateNYCに期待を寄せた。
保健衛生局のツイッターには、こんまりさんの文字も!「#MarieKondo や #KonMari に刺激を受けて、ときめかないものを片付けたいですか?寄付できる場所はこちらからお探しいただけます」
ニューヨーク市保健衛生局の発表によると、スーパーやレストランなど食品関連企業などが廃棄する使い残し(食べ残しではない)の食品廃棄量は年間65万トン(約6億5000万キログラム)にも及ぶとし、市は2030年までに埋立地に廃棄される量をゼロにするという目標を掲げている。
DonateNYCは今後、食料品はもちろんのこと、衣類や赤ちゃん用品など、さまざまな物の寄付に活用される総合ポータルサイトに成長していくことが期待されている。
(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止