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シリアの首都ダマスカスで爆弾テロが2件発生し1人死亡、イドリブ各所へのシリア軍の攻撃でも20人死亡

青山弘之東京外国語大学 教授
(写真:ロイター/アフロ)

首都ダマスカスで2件の爆弾テロが発生し、1人死亡

首都ダマスカスでは、国営のシリア・アラブ通信(SANA)によると、25日にティシュリーン競技場近くで乗用車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、市民1人が死亡、1人が負傷した。

SANA、2020年2月25日
SANA、2020年2月25日

また、ウマウィーイーン広場のトンネル出口近くに停車していたピックアップトラックに仕掛けられていた爆弾が爆発し、近くを走行していた車に乗っていたアラブ広告機構職員が負傷した。

SANA、2020年2月25日
SANA、2020年2月25日

首都ダマスカスでは2月10日(マッザ区)、18日(バーブ・ムサッラー地区)にも同様の爆弾テロが発生しているが、死者が出たのは今回が初めて。

シリア軍はイドリブ県のカフルナブル市と5カ村を新たに制圧、「決戦」作戦司令室も1カ村を奪還し、サラーキブ市に迫る

イドリブ県では、SANAや英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、シリア軍が、シャーム解放機構、国民解放戦線(国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室との戦闘の末、カフルナブル(カフランベル)市、マアッラト・タマーティル村、マアッラト・スィーン村、バアルブー村、バスカラー村、ハーッス村を制圧した。

対する「決戦」作戦司令室は、トルコ軍の砲撃支援を受けて、M4高速道路沿線をサラーキブ市に向けて進軍、24日のナイラブ村奪還に続いて、ジャウバース村を奪還した。

Step News、2020年2月25日
Step News、2020年2月25日

シリア軍はトルコ軍ドローンを撃墜

SANAによると、シリア軍は、イドリブ県サラーキブ市近郊のダーディーフ村上空でトルコ軍所属の米国製無人航空機(ドローン)を撃墜した。

ドローンは、同地一帯でシリア軍と交戦状態にある「決戦」作戦司令室のために偵察活動を行っていたものと見られる。

SANA、2020年2月25日
SANA、2020年2月25日

シリア軍がイドリブ市などの学校を攻撃、女性や子どもら20人が死亡

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機と地上部隊がイドリブ市内各所を爆撃・砲撃した。爆撃・砲撃では、ザーヒル・ビーブルス学校、バラーイム学校、イッズ・ブン・アブドゥッサラーム学校、自由高等学校、ハーリド・シャッアール学校、マナーヒル幼稚園、バラーイム幼稚園、投石病院、パン製造工場などがなった。

シリア軍はまた、国内避難民(IDPs)を収容しているマアッラトミスリーン市、ビンニシュ市内の学校などに対しても爆撃・砲撃を加えた。

この攻撃により、イドリブ市で女子生徒1人と教員2人を含む4人が、イドリブ市で住民2人が、マアッラトミスリーン市で子ども6人と女性1人を含む10人が、ビンニシュ市で女性2人と子ども2人が死亡した。

シリア軍はこのほかにも、ザーウィヤ山、サルミーン市、クマイナース村、マストゥーマ村、ムサイビーン村、24日に「決戦」作戦司令室が奪還したナイラブ村、マアーッラト・ウルヤー村、そしてトルコ軍の拠点が設置されているタフタナーズ航空基地を爆撃した。

ロシア軍戦闘機もザーウィヤ山、サラーキブ市西方各所を爆撃した。

トルコ占領下のバーブ・サラーマ国境通行所近くでトルコ軍の軍事作戦を支持するデモ

シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるアレッポ県北部のバーブ・サラーマ国境通行所近くで、イドリブ県でのトルコ軍と国民軍による軍事作戦を支持するデモが行われ、住民数百人が集まった。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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