オスロで17日よりディーゼル車を一時規制へ 初の条例適用、冬の大気汚染問題
ノルウェーでは、車の交通量が多い大都市で、冬ならではの大気汚染問題が発生する。
現在、一時的に市内の大気汚染状態が悪化する日が続いており、オスロ市は1月17日6~22時まで、ディーゼル車を禁止する条例の適用を発表した。
最も大きな原因とされる二酸化窒素が発生するのは、今の時期。寒い日が続くと、山などに囲まれた地域(オスロやベルゲン)の上空で、「蓋」がかぶさったような現象が発生し、大気汚染物質が滞留する(逆転層)。車からの排ガスのほかに、寒い日には薪暖炉の利用者も増加。
条例は今回が初の適用となる。大気汚染問題が深刻化していたオスロでは政権交代が起き、左派政党が権力を握った。
これらの党は、「大気汚染の日に、我慢して在宅待機しなければいけないのは、子どもや呼吸器官に問題を抱える人々ではなく、空気を汚す原因である車である」と主張。しかし、一部の人々を「悪者扱い」する風潮には反発もある。
初の適用となることから、市内では混乱が予想されている。この日に禁止エリアで該当車を運転した場合は、1500ノルウェークローネ(約2万円)の罰金が課せられる。
しかし、ディーゼル車の見分けは困難であることから、警察などがどのように対応していくのか疑問が残されていた。また、地元の警察も、交通規制に対応するほどの人員の余裕はないと発表済み。
特定の車両の走行を首都で禁止するケースは初めてであることから、国内での注目は大きい。この政策が混乱を起こすだけか、効果がある環境対策かが、判断されることとなる。
オスロでは、次の地方選挙がある2019年9月までに、中心地での自家用車を減らす都市改造計画の達成も目標としている。
禁止期間がいつまで続くかはわからず、オスロ市は1~2日、もしくはそれ以上と発表している。
国内メディアは、今回の適用を速報として報道。SNSでは、各報道記事のコメント欄で、「ばかばかしい」と憤慨する声、詳細がわからずに困惑する市民からの声が相次いでいる。
一方、このような動きに賛同する人々からは、「自分たちの都合だけで車が必要だと主張する人々は、他者や将来の世代のことを考えておらず、身勝手では」とする声もあり、世論は割れている。
走行禁止エリアや例外などの詳細は、地球の歩き方 オスロ特派員ブログにて。
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Photo&Text: Asaki Abumi