全打者の50%以上を三振に仕留めた投手が、FA直前に5年1億200万ドルで残留
エドウィン・ディアズ(ニューヨーク・メッツ)は、今オフのFA市場に出るはずだった。けれども、来シーズンも引き続き、メッツのクローザーとして――おそらくはトランペットの音色とともに――マウンドに上がる。
メッツとディアズは、5年1億200万ドル(2023~27年)の契約で合意に達したようだ。USAトゥディのボブ・ナイテンゲールやESPNのジェフ・パッサンらが、報じている。それらの報道によると、契約6年目の2028年は、年俸2000万ドルの球団オプション。また、全球団に対するトレード拒否権と、契約3年目を終えた2025年のオフにオプト・アウトするかしないかを選択する権利がついているという。
ディアズがFAになっていれば、争奪戦が起きていた可能性もある。今シーズンは、61登板で62.0イニングを投げ、奪三振率17.13と与四球率2.61(118奪三振と18与四球)、防御率1.31(自責点9)を記録した。32セーブと4ホールドを挙げ、セーブ失敗は3度だ。
1シーズンに50イニング以上を投げ、今シーズンのディアズよりも高い奪三振率を記録した投手は、2014年に17.67のアロルディス・チャップマン(当時シンシナティ・レッズ/現ニューヨーク・ヤンキース)しかいない。他は、いずれも16.70未満だ。また、ディアズは、235人の打者と対戦し、50.2%の118人を三振に仕留めた。こちらは、2014年に52.5%のチャップマンと2012年に50.2%のクレイグ・キンブレル(当時アトランタ・ブレーブス/現ロサンゼルス・ドジャース)に次ぐ歴代3位だ。3人のうち、チャップマンとキンブレルの敬遠与四球は皆無だが、ディアズは1人を敬遠四球で歩かせているので、それを除くと、奪三振の割合は50.4%となり、10年前のキンブレルを凌ぐ。
7シーズンに205セーブを挙げていることからも窺えるとおり、ディアズの快投は、今シーズンに限ったことではない。2018年12月のトレードで、ロビンソン・カノーとともにシアトル・マリナーズからメッツへ移籍した際も、メッツが最も手に入れたかったのは、ビッグ・ネームのカノーではなく、ディアズだったと思われる。それについては、当時、「ブロックバスター・トレードがもうすぐ成立するが、あのビッグ・ネームは主役ではなく、むしろお荷物!?」で書いた。
しかも、現在のディアズは、全盛期の年齢だ。来年3月に29歳となる。
総額1億ドル以上の契約を手にしたリリーフ投手は、過去にはいなかった。9000万ドル以上も皆無。ディアズの総額は、2016年のオフにチャップマンがヤンキースと交わした、5年8600万ドル(2017~21年)の契約を上回った。
今オフにFAとなる3人、キンブレル、ケンリー・ジャンセン(アトランタ・ブレーブス)、チャップマンは、いずれも通算300セーブ以上を挙げている。だが、来シーズンの年齢(6月30日時点)は、3人とも35歳だ。キンブレルとチャップマンは、今シーズンの途中にクローザーの役割から降ろされている。こちらについては、「チャップマンに続き、キンブレルもロースターから外れる。通算315セーブと394セーブ」で書いた。
【追記:11/8】FA市場には出ていないが、記録上、ディアズは、FAになった後、メッツと再契約を交わしたことになる。