2023年実現!米連邦航空局がNASA公認の宇宙飛行計画を正式発表
11月12日(金)、アメリカ連邦航空局(FAA)が2023年から年間1回以上の飛行を予定するスペースクラフトに関する環境影響評価の計画を公表しました。使用されるシエラスペース社製のスペースクラフトはドリーム・チェイサーと名付けられており、宇宙船なのか宇宙飛行機なのか、既存の表現では定義が難しい変形型の機体です。今回のFAAによる正式発表によると、本計画の環境アセスメントのために、関係者、有識者、一般市民も含め、幅広く意見を募るパブリックコメントを実施することが目的とのことです。70ページ以上にもなる計画書の中身をざっと整理してみました。
シエラスペース社は、2023年、2023年、2024年、2025年に1回、2026年には2回、2027年には3回を上限として、ドリーム・チェイサーの運航を予定しています。出発時はロケットの先端に装着する形で垂直に打ち上げられ、衛星軌道に入る際に飛行形態を変更します。
その後、ドリーム・チェイサーは国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、燃料補給と貨物の積み下ろしを行った後、衛星軌道を離脱してアメリカのアラバマ州にあるハンツビル国際空港(HSV)へと着陸します。実はシエラスペース社とNASAは商業サービスとしての契約を締結しており、2010年から全面的な協力関係にあります。今回の計画が上手くいけば、世界で初めて再利用が可能な機体を使って地球と宇宙の行き来が実現することになります。
運航側の技術検証とは別に、FAAは航空輸送の安全、運航機体の認証や運送事業の認可などの管理当局として、ハンツビル国際空港の管理者であるハンツビル・マディソン郡空港公団(公団)のリエントリーサイト(宇宙からの再突入のために使用する着陸場所)運営資格とシエラスペース社の運送事業ライセンスを承認する必要があります。本計画においても、空域・航空路の使用や航空交通制御等の航空管制上の対応や、航空会社、パイロットなどに周知するNOTAMの発行などの詳細が記載されています。
ハンツビル国際空港への到着は、通常の定期便が使用する西側の標準到着経路を経由して、2本ある滑走路のうち3840mの長い方の滑走路18L-36Rを使用します。ハンツビル国際空港は2019年に年間7万回を超える発着がありますが、衛星軌道を離脱の30〜45分後から滑走路18L-36Rへの航空機の到着は禁止され、ドリーム・チェイサー着陸後から約8時間は滑走路閉鎖が続く見込みです。具体的な時間帯は示されていませんが、日中、夜間を問わず行われる可能性があります。
日中に着陸が行われる場合には、アトランタ国際空港、ナッシュビル国際空港、バーミンガム国際空港など、近隣の空港からの航空交通に大きな影響を与える可能性があります。宇宙の商業利用に向けた第一歩は、航空管制官にとっても一大イベントになりそうです。
引用:
https://www.faa.gov/newsroom/faa-invites-public-input-draft-environmental-review-operate-huntsville-international
https://www.faa.gov/space/stakeholder_engagement/huntsville_reentry/