社民党・福島氏「裏金問題で岸田内閣は政党助成金を返上するのか?」UNRWA拠出金停止との矛盾 #ガザ
今日29日に、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のトップであるフィリップ・ラザリーニ事務局長が来日します。その目的は、UNRWAへの拠出金を停止している日本側の対応の見直しについて協議することです。UNRWAをめぐってはその職員12人が昨年10月7日のハマス等による襲撃に関わった疑惑があるとのイスラエルの主張を受け、岸田内閣は「ガバナンスが信頼の置けるものであることを確認することは重要」だとして同機関への拠出金を一時停止しました。
こうした岸田内閣の方針について、社民党の福島みずほ参議院議員は「例えば、自民党の裏金問題の真相追及が進むまで、政党助成金を返上するのか?しないだろう。ガバナンスを語る資格があるのか」と疑問を投げかけました。
〇UNRWAへの資金拠出停止は適切だったか?
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、パレスチナでの人道支援を行う国連の組織で、ガザでは約1万2000人が現地雇用のスタッフとして働いています。昨年10月からのイスラエルのガザ攻撃の最中も、UNRWAは活動を続け、また現地の深刻な人道危機について情報を発信し続けてきました。これに対し、イスラエルのネタニヤフ政権は「UNRWAの職員に昨年10月のハマスの攻撃に加担した者がいる」と批難。イスラエル側の主張を受け、米国やドイツなどはUNRWAの拠出金を一時停止し、日本も「ガバナンスが信頼の置けるものであることを確認することは重要」(岸田首相、先月9日の国会質疑での答弁)として、拠出金を一時停止しました。
しかし、ごく一部の職員がハマスとの関わりが疑われているだけで、UNRWA自体が組織としてイスラエルへの攻撃を企画・協力したということではないにもかかわらず、同機関そのものへの拠出金を停止した岸田内閣の対応に対し、「やりすぎだ」との声が野党やメディア、そして連立を組む公明党からもあがっています。
〇自民党に「ガバナンス」を語る資格あるのか?
いずれにせよ、イスラエル軍の攻撃でガザの市民のほとんどが避難生活を余儀なくされる中、拠出金停止でUNRWAが活動できなくなれば、ガザの人々の人道危機はより一層深刻なものとなります。
日本政府側は岸田首相が国会で「ガバナンスが信頼の置けるものであることを確認することは重要」として拠出金を一時停止していますが、社民党の福島みずほ党首はこれを批判。今月27日、福島氏は「自民党の裏金問題は真相追及からほど遠い状況」と批判した上で、「(一部職員のハマスとの関わりの疑惑で)UNRWAの資金拠出を一時停止したが、例えば、自民党の議員らが裏金問題を抱えているからと、同党の政党助成金を停止、返上することを岸田首相がするのか?しないだろう。岸田首相にガバナンスを語る資格があるのか?」と疑問を呈しました。
福島氏は裏金問題に関して「一番のキーパーソンである森元首相の聞き取りはやるつもりはないというのが岸田首相の答弁。聞き取りもちゃんとやるべきだし、そうでなければ国会に証人喚問して事実を明らかにしなくてはならない」と述べました。また、UNRWAへの拠出金についても、「子ども達や市民が飢えている。まさに命がかかっているので、支援は再開すべきだ」と求めました。
イスラエルの暴走を止めなくてはならない
昨日から今朝にかけて、日本が来月以降、UNRWAへの資金拠出を再開すると報じられ始めていますが、一時的にせよ、イスラエルの主張を日本が鵜呑みにして資金拠出を停止したこと自体が問題です。そもそも、UNRWAの職員がハマス等のイスラエルへの攻撃に加担したかどうかも事実かどうかはっきりしていません。UNRWAの保健局長である清田明宏氏は、先月16日に記者団に対し、UNRWAの職員がハマス等の攻撃に加担したかどうかの具体的な証拠を「イスラエル側が示していない」と語っていました。
また、著名な国際人権団体「ヒューマンライツ・ウォッチ」の前事務局長であるケネス・ロス氏は、英紙ガーディアンへの寄稿の中で、ネタニヤフ首相などイスラエルの強硬派はガザを住めない状況にし、人々を追い出すことを目論んでおり、ガザへの人道支援を行っているUNRWAへの攻撃もその一環なのだと分析しています。確かに、イスラエルはガザ攻撃当初からUNRWAの関連施設を攻撃しており、ロス氏の主張にもそれなりの根拠があると言えるでしょう。
ガザ攻撃では、イスラエルが国連等のガザ内への支援物資の搬入を妨害しているため、ガザの人々は飢餓に直面しており、子ども達が餓死することも起こり始めています。日本としても、ガザへの支援を再開し、また、物資搬入を妨害するイスラエルに圧力をかけること、何より早期の停戦を実現するために全力を尽くすべきでしょう。
(了)