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「三重のご当地アイドル」として三重のことを伝えたい~煌めき☆アンフォレント インタビュー

宗像明将音楽評論家
煌めき☆アンフォレント(提供:TOY Planet*)

 三重県を本拠地とする5人組アイドル・グループ、煌めき☆アンフォレント。最近は東京でのライヴ活動も活発な彼女たちが、2018年12月24日にZepp Nagoyaでワンマンライヴ「煌めき☆アンフォレント 3rdワンマンLIVE」を開催する。愛知県名古屋市のいわゆる「大箱」に挑む煌めき☆アンフォレントから見て、名古屋のアイドル・シーンの現状や、東京での自分たちの強みとはどんなものだろうか。Zepp Nagoyaでのワンマンライヴの日が迫る煌めき☆アンフォレントに話を聞いた。

煌めき☆アンフォレント。左から双葉凛乃、西ひより、茉井良菜、二條満月、谷麻由里(筆者撮影)
煌めき☆アンフォレント。左から双葉凛乃、西ひより、茉井良菜、二條満月、谷麻由里(筆者撮影)

「三重はやっぱり煌めき☆アンフォレントだね」

――煌めき☆アンフォレントは10月に3周年を迎えましたが、三重のご当地アイドルとして現地でのライヴはどのぐらいやっているのでしょうか。

西ひより  月に一度です。四日市のClub Chaosっていう、四日市駅から徒歩3分ぐらいのライヴハウスでしています。

――3周年を迎えてオリジナル・メンバーの西ひよりさんと二條満月さんの感慨はいかがでしたか。

二條満月  すぐ辞めると思ってましたね、オタクにもすぐ辞めると思われてた。アイドル未経験だし、アイドルに向いてないって自分でも言ってたから。でも、一瞬で3年が経ちました。最近はもう何も考えないでも日が過ぎていくし。

――三重出身ではないのに、三重のご当地アイドルになるというのはどういう感覚だったのでしょうか。

西ひより  作戦的にはすごくいいなと思いました。三重にはあまりアイドルがいないから、「三重はやっぱり煌めき☆アンフォレントだね」って言ってもらいやすくて、イベントに呼ばれやすくなるっていう計画を聞いて、すごく頭がいいなと思いました。

――茉井良菜さんは2年と少しですが(2016年7月3日加入)、煌めき☆アンフォレントで活動してみていかがでしたか。

茉井良菜  短かったです。ありがたいことに入ったときとガラッと環境が変わったんです。入った頃は全然遠征もなかったんですけど、今はもう遠征しかしてないぐらいのグループになったので、ありがたいなあって思うし、その状況の変化に、私も力になれてたらうれしいなって思います。

――双葉凛乃さんと谷麻由里さんは半年と少しぐらいですよね(2018年3月10日加入)。

双葉凛乃  短かったです、1か月か2か月ぐらいしか経ってないんじゃないかっていうぐらい。気づいたら半年以上経ってたみたいな。でも、先月ぐらいまでは、煌めき☆アンフォレントに付いていくので必死でした。これからは、煌めき☆アンフォレントに必要な存在って思ってもらえるようになりたいです。私が入ってなじめてるかどうか、まだ自分でも若干わかんないから、煌めき☆アンフォレントの一色としてなじめてるといいなと思ってます。

谷麻由里  1か月が早くて、毎月「ああ、もう月末か」と思ってます。遠征が多いんで、体力がちょっと付いてきたかな。

西ひよりが三重定期公演を頑張る理由

――ちなみに西ひよりさんは、2018年1月31日に卒業して、2018年5月14日に復帰しましたね。一応「期間限定」となっているけれど、今後どうするのでしょうか。

西ひより  最初は9月までということで戻ってきて。でも、12月24日にZepp Nagoyaのワンマンライヴが決まったので、そこまでになったんです。さらに今、「週刊ヤングジャンプ」の「サキドル エース」の企画で来年5月までになるかもしれないんですけど、その結果がまだ伝えられてなくて。その結果待ちです。

――その企画が期待通りにならなかったら、12月で辞めるのでしょうか。

西ひより  まあ、運命と相談です。私がいることによって、何か貢献できることがあるんだったら、ちょっとでもいられたらいいなとは思うんです。でも、やっぱりちゃんと期間は決めてやりたいなっていう気持ちもあります。

――1回卒業してまた戻ってくるのは珍しいパターンだと思いますが、戻ってみていかがでしたか。

西ひより  最初はどういう立ち位置で自分がいればいいのかわかんなくって。前はリーダーで引っ張っていく立場だったんですけど、今は二條満月さんが筆頭に走っていく煌めき☆アンフォレントであってほしいって私は思ってるから、後ろから支えていく立場でありたいなと思うんです。あとは、やっぱり楽しい企画を考えて、メンバーもファンの方も楽しませたいっていう気持ちが一番強くて、月一の三重定期公演を頑張っています。

煌めき☆アンフォレントから見た名古屋のアイドル・シーン

――三重を拠点とする煌めき☆アンフォレントからすると、現在の名古屋のアイドル・シーンはどう感じていますか。

西ひより  私はもともと名古屋でオタクをしてたんですけど、昔より落ち着いたなと思うし、やっぱ東京には勝てない。昔はもう、SKE48さん、チームしゃちほこさん(現TEAM SHACHI)って感じだったし、もちろん今でも勢いはあると思うんですけど、やっぱりどうしてもオタクとして昔と比べると、落ち着いたと思っちゃうんです。

茉井良菜  私は大阪にいたので、名古屋は東京ぐらい勢いのあるところだと思ってたんですけど、最近はけっこうのんびりしてる。そこのグループごとの文化が大きくて、ここはここ、そこはそこみたいな。みんなで盛りあげるんじゃなくて、そこの事務所とそこのファンみたいな感じですね。

双葉凛乃  私の印象では、東京が一番勢いあって、次に名古屋で、福岡、大阪みたいなイメージだったんです。でも、実際に名古屋で活動してみると、東京がすごすぎる。

二條満月  私はもともとアイドルを知らないんで、勢いとかわかんないんですけど、自分的には3年前に比べたら「名古屋、うーん」って感じです。特に何もないんですよね。

西ひより  解散や卒業が多いしね。

茉井良菜  昔からいるグループさんも、メンバーさんが総入れ替えしちゃって。

谷麻由里  私も全然アイドルを知らなくて、名古屋のことも大阪のこともあんまりわからなくて。

へなぎ(プロデューサー) もう自分たちが戦うフィールドのアイドルがいないんですよ。僕たちが頑張って名古屋を支えようと思って、主催イベントもやってるんですけど、かといって僕たちが「この名古屋のグループ、ライバルだな」っていう存在は一組もいない。

――そうなると、SKE48とチームしゃちほこを倒しにいかなくちゃいけない?

へなぎ  SKE48とチームしゃちほこを倒しにいくってなったら、1億円ぐらいお金を借りてきますよ(笑)。

煌めき☆アンフォレントの東京での強みとは

――煌めき☆アンフォレントは、東京でも活動していますが、自分たちの強みはどこにあると思いますか。

西ひより  楽曲や音ですかね。あと宇宙感。

――今は現場のファンがどれだけ盛りあがるかが見られがちじゃないですか。そういう面で煌めき☆アンフォレントは強いでしょうか。西ひよりさん、無言でうなずいていますね。

双葉凛乃  やっぱり楽曲かな。メンバーのオタクっぽさも、話しやすさや親しみやすさにつながるんじゃないかな。

茉井良菜  やっぱり良くも悪くも三重。三重のことを伝えてるっていうところですかね。

――煌めき☆アンフォレントって三重っぽさはあると思いますか。

茉井良菜  ありますね、すごくいっぱい。月一で定期公演をしてたり、ヴィアティン三重の公式応援アイドルをやったり。みんな三重が好きで、ちゃんとツアーで三重を回るところですかね。素晴らしい!

――自画自賛しはじめましたね!

茉井良菜  東京のアイドルとライヴをするときも、「三重のご当地アイドル」っていうことで、ちょっとした差別化ができます。「ご当地アイドルなのに、こんなクオリティーなんだ」と思ってもらえたらうれしいです。逆にちゃんと定期的に三重でやらないと「全然三重でやってないじゃん」って言われたりするんですけど、「三重のご当地アイドル」って言うのは私は好きです。

二條満月  みんなが言ってる通り楽曲はいいと思うし、ダンスもフォーメーションも頑張ってると思うんです。パフォーマンスは東京に負けてないと思います。そういうグループが三重のアイドルっていうのも強みだなって。パッと見て、絶対に三重だと思わないし、そこが強みかな。

谷麻由里  私も楽曲かな。私、ふだん歌が頭にあんまり入ってこなくて、似てるように感じちゃうんですけど、煌めき☆アンフォレントの曲は、何か違うなっていう感じがします。ダンスもちょっと不思議な感じが多くて、それで気になって加入したんです。

煌めき☆アンフォレントの三重っぽさ

――東京に来ていて、三重のアイドルだと言うと、三重っぽさを求められたりしますか。

茉井良菜  気づかれないことのほうが多いです。毎日自己紹介で「三重のご当地アイドル」って言ってるけど、物販で「東京だと思ってた」と言われます。

西ひより  三重の定期公演は、最近頑張ってます。東京の人が「三重に行こうかな」ってTwitterで書いてくれてて、すごくうれしいです。やりがいがあって。

双葉凛乃  三重定期公演しか思いつかない。あと、番組!

西ひより  「三重レ!キラフォレ☆」(三重テレビ放送)。

二條満月  でも、なにせ三重の出身者がいないんで。

――身も蓋もないことを言いましたね!

二條満月  だから、三重っぽさがないとこが「煌めき☆アンフォレント感」なのかな。

谷麻由里  三重のことに詳しいって思われてることが多いので、「どこ行ったら楽しい?」って聞かれます。答えられないんで、もっと勉強しようかな。

全員が不安なZepp Nagoyaの見どころとは

――12月24日のZepp Nagoyaをソールドアウトさせようとしていますが、手応えはいかがですか。

西ひより  自信はないです。

茉井良菜  ない。

――いきなり言いきりましたね。

茉井良菜  なんか未知です。今までのワンマンライヴは、現実的なキャパシティーが多くて、それで埋まっててうれしいなって思ってて。東京に来ると「今きてる」と言われるけど、それも今は落ち着いてきたんです。今の煌めき☆アンフォレントが地方をぐるぐるしている立ち位置ゆえに、お客さんの動員が把握しきれてないので、ちょっと怖いな。

――Zepp Nagoyaでの見どころはどこになると思いますか。

茉井良菜  三重定期公演では、みんなで考えたものを楽しく表現してるので、Zepp Nagoyaの当日にもそういうところを見せられたらいいなと思います。

西ひより  今、自分ができる120%の力を出していきたいです。スーパーサイヤ人みたいに。後ろまで届くように。

双葉凛乃  正直、不安が大きいので、焦りがあります。だけど、やるからには絶対成功させたいし、後ろの人まで届いて、みんなが笑顔になれる公演にしたいんです。この5人全員が「やった!」ってなれるようなワンマンライヴにしたいなと思います。ひとりひとりがやりたいことの案を出して、作りあげるワンマンライヴにしたいです。

二條満月  私もあんまり自信はないかな。みんなで同じ気持ちでライヴをしたいし、それが一番大事かな。名古屋ダイアモンドホール(2017年9月18日)のときは、忙しすぎたのもあって、自分の気持ち的に達成感がなかったんです。みんなで同じ方向を向いてなかった感もあったから、詰める時間もなかった。だから今回は、みんなでいっぱい考えて、みんなでやりきったって思えるようなライヴにしたいな。今までのお客さんにも来てもらいたいし、新しいお客さんも付けて、自分ができることを一生懸命やるしかないかな。

谷麻由里  もう緊張してます。

――5人全員、もう不安って言っていますね。

谷麻由里  不安ですね。調べたら大きいし、みんなが名前を知ってるような場所なんで、埋めたいっていうのが一番の目標です。あとは緊張しない。きっちりしすぎてるよりも、みんなが「楽しかった」って笑える感じのライヴができたらいいなと思います。

煌めき☆アンフォレント。左から双葉凛乃、西ひより、茉井良菜、二條満月、谷麻由里(筆者撮影)
煌めき☆アンフォレント。左から双葉凛乃、西ひより、茉井良菜、二條満月、谷麻由里(筆者撮影)

煌めき☆アンフォレントの石川県のライヴでの光景

 インタビューした後、2018年11月11日に煌めき☆アンフォレントと再び会う機会があった。石川県小松市のライヴハウス・THE MAT'Sで開催された空野青空の生誕イベント「空野青空 Lv.22 Birthday Live!! 〜にゃんにゃんフェスティバル2018〜」に煌めき☆アンフォレントも私も出演したのだ。東京で会った次は石川県。煌めき☆アンフォレントの遠征の多さを象徴していた。

 その日の煌めき☆アンフォレントのライヴ中、とても印象的なことがあった。煌めき☆アンフォレントのライヴを、北陸のアイドルたちがステージ袖の通路に体育座りをして見ていたのだ。彼女たちの目に映る煌めき☆アンフォレントは憧れの対象そのものだった。

 煌めき☆アンフォレントのZepp Nagoyaでのワンマンライヴは、はたしてどんなものになるのだろうか。楽しみに見届けたい。

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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