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森保監督と大岩監督はサッカー的には水と油。一貫性を欠く日本代表強化策

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 パリ五輪で指揮を執った大岩剛監督が、ロサンゼルス五輪を目指すアンダーカテゴリーの監督の座に再度、就くことになった。

 A代表の森保一監督も2026年W杯まで計8年の契約である。2人の代表監督が2大会続けてその座に就く姿は、池田太監督からニルス・ニールセン監督に首をすげ替えたなでしこジャパンとは対照的である。

 だが男子の森保監督と大岩監督は、サッカー的には水と油の関係にある。森保監督は就任以来6年半、「臨機応変」、「賢くしたたかに」を決め台詞に様々な布陣を使用してきた。攻撃的な布陣と位置づけられる4-2-3-1、4-3-3でも多くの試合を戦っている。何でもあり。こだわりがないと言うより、すっかり3-4-2-1に回帰した現在の姿を見ると、戻るべきところに戻った印象だ。サンフレッチェ広島時代も3-4-2-1で戦っていたことを踏まえれば、守備的サッカーの信奉者とカテゴライズするのが妥当だろう。

 一方の大岩監督はパリ五輪を含めた就任期間中、ほぼ4-3-3で通している。鹿島アントラーズ時代を含めて5バックになりやすい3バックで戦った形跡はない。攻撃的サッカーを信奉する監督と言っていい。攻撃的サッカーは世界的に見れば7割強のシェア率を誇るので、オーソドックスなサッカーと言い換えることもできる。

 守備的サッカー対攻撃的サッカー(オーソドックスなサッカー)。協会はなぜこの水と油の関係を許すのか。育成カテゴリーとA代表の間になぜ一貫性を持たせようとしないのか。メディアはなぜそこを追求しないのか。欧州ならもっと大きな騒ぎになっている問題である。日本の特殊性をそこに見る気がする。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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