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なぜシティは調子を落としているのか?ロドリの不在の影響…グアルディオラの揺らがない自信と総合力。

森田泰史スポーツライター
調子を落としているシティ(写真:ロイター/アフロ)

精密機械でさえ、故障の可能性はある。

マンチェスター・シティの調子が、上がらない。昨季、プレミアリーグ、FAカップ、チャンピオンズリーグで優勝を果たしてトリプレテ(3冠)を達成したシティだが、今季は序盤から苦しんでいる。

直近のプレミアリーグではトッテナム戦(3−3)、リヴァプール戦(1−1)、チェルシー戦(4−4)、アストン・ヴィラ戦(0−1)と未勝利が続いた。ルートン・タウン戦(2−1)で勝利を取り戻したが、2017年以降、シティがプレミアで4試合未勝利に終わったことはなかった。

■補強とペップの誤算

シティは今夏、ジョシュコ・グヴァルディオル(移籍金9000万ユーロ/約135億円)、マテウス・ヌネス(移籍金6200万ユーロ/約93億円)、ジェレミ・ドク(移籍金6000万ユーロ/約90億円)、マテオ・コバチッチ(移籍金2910万ユーロ/約43億円)を獲得。3ラインをバランスよく補強して戦力を整えた。

一方、シティはイルカイ・ギュンドアン(フリートランスファー)、ジョアン・カンセロ(レンタル)、コール・パーマー(移籍金4700万ユーロ/約71億円)、リャド・マフレズ(移籍金3500万ユーロ/約52億円)、アイメリック・ラポルト(移籍金2750万ユーロ/約41億円)といった選手を放出している。

シティの選手たちとグアルディオラ監督
シティの選手たちとグアルディオラ監督写真:ロイター/アフロ

シティは昨季、ジョゼップ・グアルディオラ監督が【4−3−3】のシステムと戦術においてテコ入れを行なった。ジョン・ストーンズが“偽CB”と化して、【3−4−2ー1】を形成。ポゼッション率を高めながら守備の強度を保つことが可能になった。

■デ・ブライネとロドリの不在

だが今季、グアルディオラ監督に誤算が生じる。

まずはケヴィン・デ・ブライネの負傷だ。デ・ブライネはプレミアリーグ開幕節のバーンリー戦で負傷。昨季、公式戦49試合に出場して10得点31アシストを記録したデ・ブライネがいなくなり、シティは大きな打撃を受けた。

加えて、ロドリ・エルナンデスに依存しているチーム状態が浮き彫りになった。

昨季のシティはロドリ、デ・ブライネ、ギュンドアンが中盤をコントロールしていた。ロドリ(守備担当)、デ・ブライネ(アシスト役)、ギュンドアン(2列目の飛び出し)と各自のタスクが明確になっていて、均衡がとれていた。そこにストーンズが加わる格好で、強度が担保されていた。

その3枚がいない状態というのは、当然ながら厳しい。とりわけ、ロドリの影響力は絶大だった。「我々はロドリがプレーしていない時に勝てる方法を見つけなければいけない」と語っていたグアルディオラ監督だが、現時点で解決策は提示されていない。

ドリブルするロドリ
ドリブルするロドリ写真:ロイター/アフロ

実際、シティはロドリが先発の試合で勝率を73%としている(プレミア第15節終了時点)。他方で、ロドリが先発外だった試合では、勝率が53%まで落ちている。

また、シティは1試合平均失点数(ロドリ出場時0.8失点/ロドリ欠場時1.1失点)、被シュート数(8.3本/7.1本)、勝ち点獲得数(2.3ポイント/1.8ポイント)と多くの側面で損害を被っている。

■シティの前線と攻撃力

ただアタッカー陣は、不調、というわけではない。

昨季、シティがタイトルを獲得する上で、原動力となったのがアーリング・ハーランドだ。ハーランドは公式戦53試合で52得点9アシストをマークした。

そのハーランドは今季、プレミアで16試合に出場して14得点をマークしている。またフリアン・アルバレス(4得点)、フィル・フォーデン(4得点)、ドク(2得点)と攻撃陣の調子は悪くない。

ストーンズに指示を送るペップ
ストーンズに指示を送るペップ写真:ロイター/アフロ

「今シーズン、シティが3冠を達成したら、私は引退するつもりだ。それは間違いない。だが9月から11月にかけて、タイトルに思いを巡らせるのは良くない。忘れるべきだ」とはグアルディオラ監督の弁だ。

「(3冠は)非常に難しい。サー・アレックス・ファーガソンのマンチェスター・ユナイテッドが一度。そして昨シーズンの我々が一度。簡単ではない。2シーズン連続など、達成したチームはない。昨シーズンを見ても、その難しさがわかるだろう。だが、こんにち、質問されたら、再び達成できるという感覚はあると答える」

「トッテナム戦やリヴァプール戦のようなプレーを見せられたら、今シーズン、我々はプレミアリーグで優勝するだろう」

厳しいマークを受けながらゴールを量産するハーランド
厳しいマークを受けながらゴールを量産するハーランド写真:ロイター/アフロ

プレミアで優勝できるーー。指揮官の自信は、揺らいでいない。

また、冬のマーケットが、1月に開幕する。そこでの補強、というのも考えられるだろう。資金力でシティの右に出る者はいない。総合力をもってして、ペップ・シティは立て直しを図る。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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