正規社員と非正規社員の賃金差の実情をさぐる(2023年公開版)
社会現象としてクローズアップされている非正規社員の増加問題。正規・非正規間のもっとも分かりやすい違いは賃金(あらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額)にある。その実情を厚生労働省が2023年3月に発表した、賃金構造基本統計調査の報告書から確認する。
今回見ていくのは雇用形態別の賃金の実情。区分を正規社員に該当する「正社員・正職員」と、非正規社員に該当する「正社員・正職員以外」で行う。男女で大きな差異が生じているので、男女それぞれの実情を確認する。また、対象はフルタイム勤務の人が該当する一般労働者であり、パートやアルバイトに代表される、短時間、あるいは限定日数での就労タイプ(短時間労働者)は該当しない。
まずは2022年における雇用形態別・男女別の平均賃金。
当然の結果ではあるが、正規社員の方が賃金は高い。非正規社員の賃金は正規社員に比して7割前後。
全体として失業率の面では前回年となる2021年と比べておおよそ悪化が見られたのが労働市場。
賃金の上では雇用形態で大きな差が生じている。もっとも大きな上昇率を示したのは男性の非正規社員で、前年比2.6%の上昇となる。色塗りの都合によりやや見え難いものとなっているが、左側・太枠表示が正規社員、右側・枠線無し表示が非正規社員である。
2022年においては全属性でプラスだが、男女別では正規社員は女性、非正規社員は男性の方が、よりよい結果が出ている。賃金の上昇は労働力の需要と連動性が高いことから、男性では非正規社員、女性では正規社員の需要が大きかったものと考えられる次第ではある。
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