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200年に一人の天才ボクサーが語る「井上尚弥の底知れない強さ」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:山口裕朗

 現役時代、所属していた協栄ジム会長、故金平正紀に「具志堅用高を超える逸材。200年に1人の天才」と絶賛された元WBAジュニアウエルター級1位、日本同級&日本ウエルター級王者の亀田昭雄。

 本シリーズでお馴染みの彼に、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2回1分19秒で沈めてIBFバンタム級タイトルも手に入れた井上尚弥について訊いた。

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 いやぁ、井上尚弥は今回も見せてくれましたね。本当に強い! 非の打ち所がありません。

 ファーストラウンドは、エマヌエル・ロドリゲスのペースでした。ロドリゲスは井上を喰ってやろうとプレッシャーを掛けていましたね。19戦全勝12KOの世界王者ですから、自信があったのも当然です。でも、そこにロドリゲスの誤算がありました。

 身長もリーチもロドリゲスが優っていたのですから、もっと距離を取って井上を懐に入れてはいけなかった。なのに、打ち合いましたね。それはつまり、井上の得意な接近戦な訳です。

 第2ラウンド、井上は右ストレートを当ててリズムを作っていきました。で、30秒に左フックをクリーンヒットして最初のダウンを奪った。あれは、身体が自然に動いたものでしょう。井上にしてみれば、シャドウボクシングのように手が出たんだと思います。

 ロドリゲスが立ち上がった後に、右ボディで2度目のダウン、そして3度目のダウンは左ボディで奪った点に井上の底知れぬ能力を感じます。

 ボクサーって、ダウンを奪ったら顔を打ちたくなるものです。上への攻撃で決めたいと思うものなんですね。でも、相手の意識が頭へのディフェンスであることを理解して、敢えて下を狙っている。その冷静さに驚きました。

 

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 次の相手であるノニト・ドネアも名チャンピオンでしたが、井上には敵わないでしょう。井上の強さ、巧さは群を抜いています。間違いなく、ドネアにも勝つでしょうね。そうしたら、更に階級を上げるんじゃないでしょうか。相手がいませんから。

撮影:山口裕朗 決勝の相手はノニト・ドネア
撮影:山口裕朗 決勝の相手はノニト・ドネア

 前回もお話ししましたが、https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20181009-00099791/ 故金平正紀会長が僕に付けた「200年に一人の逸材」というキャッチコピーは、井上尚弥に差し上げます(笑)。今後、どんな活躍を見せてくれるか。どこまで上っていくか。本当に楽しみです。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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