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元統一ヘビー級チャンプから高評価を得るIBF王者

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 昨年9月、元3冠ヘビー級チャンピオンのアンソニー・ジョシュアを豪快にKOしたIBF王者のダニエル・デュボア。既に決着はついたように見えるが、再戦に向けて動き始めたらしい。

 そのデュボアをかつてヘビー級KINGだったレノックス・ルイスが高く評価している。

写真:REX/アフロ

 ルイスは言う。

 「デュボアのパフォーマンスは信じられないレベルだった。チャンピオンになるべくしてなったよ。特にジョシュアの顎を撃ち抜いた右は、素晴らしい破壊力だった。あれを食らったら間違いなく倒れるさ。本当に驚いた。ボクシング界にとって、大きな意味のある夜になったな」

写真:ロイター/アフロ

 デュボアは1、3、4、5ラウンドにジョシュアを沈めたが、ルイスはフィニッシュに結びつけたIBF王者の右を買っていた。ダメージの濃いジョシュアがよろめいたところで、クリーンヒットした一発だ。辛うじて立っていたジョシュアだが、肉体のみならず、精神も折られてしまった。

 イベンダー・ホリフィールドやマイク・タイソンを下し、同世代の最重量級ファイターを踏み台としたルイスは、デュボアこそ自身の後継者と認めたようだ。

 「デュボアは仕事をしてくれた。彼が戦ったすべての試合が良い経験になっている。ファイトから学んでいるね。戦いで得たすべての学びを、ジョシュアとのファイトで出した。そして自分の時代を作ろうとしている」

写真:ロイター/アフロ

 噂されるリターンマッチについても、ルイスは触れた。

 「まあ、同じような結果になるだろう。デュボアがジョシュアにプレッシャーをかけるよ。ジョシュアが劇的に変わらない限り、再戦での勝利は簡単じゃないか。もう一度戦うつもりなら、ジョシュアは己のボクシングを大きく変化させなければ」

写真:ロイター/アフロ

 現役時代のルイスは相手を舐め切り、オリバー・マコール、ハシーム・ラクマンに派手なKO負けを喰らった。その両者、そして初戦がドローとなったホリフィールド戦と、ルイスはリマッチで必ず勝利した。

 身長196センチと、ヘビー級の中でもとりわけ恵まれた肉体を誇り、重いパンチを持っていたルイスだが、自身の能力を120%発揮したタイプではない。余力を残しながらも、統一世界王座に就ける男だった。

 そんなルイスに太鼓判を押されたデュボア。どんな道を進むのか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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