ハチミツに含まれる花粉を食べて、アレルギー症状がでることはありますか?
3月8日はミツバチの日なのだそうです。
そしてミツバチと聞くと、患者さんからの質問を思い出します。
以前、ある患者さんに『花粉アレルギーがあったら、ハチミツを食べてアレルギー症状がでたりしますか?』という質問を受けたのです。
その場ではとっさにお答えできませんでした。
たしかにミツバチはさまざまな花粉を集めているでしょう。それならばハチミツに花粉が混じっている可能性だってあります。
日本では、スギ花粉症がもっとも多いですが、実際は花粉症を起こす可能性がある花粉は2014年現在61種類もあるのです[1]。
そこで、その日持ち帰って調べることにしたのです。
花粉アレルギーのあるひとの皮膚に花粉がつくと症状がでることがある
まず、花粉が皮膚につくと皮膚にアレルギー症状が現れることはあるのかを考えてみましょう。
5月から7月にかけて飛散するカモガヤ花粉症のあるアトピー性皮膚炎のひとは、カモガヤ花粉にさらされると、特に衣服に覆われていない部分の皮膚症状が悪化することが確かめられています[2]。
つまり、ハチミツに含まれる花粉に対してアレルギーのある方は、皮膚にハチミツを塗ると皮膚に症状があってもおかしくないでしょうね。
でも、ハチミツは皮膚に塗るよりも、食べることのほうが多いですよね。
ハチミツに含まれる花粉を食べてアレルギー症状が出る可能性はある?
では、ハチミツに含まれた花粉を食べてアレルギー症状が出現することはあるのでしょうか?
ハチミツに対してアレルギーのあるひとの、22人中13人がキク科の花粉にアレルギーを持っているという研究結果があります[3]。
キク科というとキクの花を思い浮かべるかもしれません。しかしキクの仲間の植物で花粉症を起こしやすいのは、8月から10月に飛散するブタクサ・ヨモギの花粉です。
では、実際にキク科花粉が含まれているようなハチミツでアレルギー症状を起こす頻度は高いものなのでしょうか?
実際に、花粉アレルギーのあるひと46人に、ハチミツ30 gを食べていただきアレルギー症状を起こすかどうかを確認したという研究があります。
しかし、はっきりしたアレルギー反応を起こした方はいなかったそうです[4]。
つまり、はちみつに含まれた花粉(キク科の花粉のケースが多いようです)を食べることでアレルギー症状を起こす可能性はあるけれども、頻度はきわめて低いのではと思われます。
おわりに
さて今回は、以前尋ねられた質問の内容を共有させていただきました。
次に質問されたら、こう答えようと思っているのですが、残念ながらその後は尋ねられたことはありません。
なお、ハチミツは1歳未満のお子さんに食べさせるのは、ボツリヌス菌の毒素へのリスクがあるので避けてくださいね。
【参考文献】
[1]日本小児アレルギー学会誌 2019; 33:749-57.
[2] J Allergy Clin Immunol 2015; 136:96-103.e9.
[3] Allergy 1992; 47:41-9.
[4]Allergy 1995; 50:844-7.