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マス・メディアとその役割・・・政治・政策リテラシー講座11

鈴木崇弘政策研究者、PHP総研特任フェロー

民主主義では、国民・有権者が主権者です。そして、その主権者である国民・有権者が、的確に判断していくためにも、情報が公開され、一方的な意見だけでなくさまざまな考え方や情報が社会に存在していることが必要です。

また民主主義社会では、社会の公共的なことに関する合意形成では、世論が重要な役割を果たしています。

このような点で、重要なのが報道や表現の自由、言論の自由、知る権利などですが、それに関して特に重要なのが新聞や雑誌あるいは、テレビやラジオなどの放送、つまりマス・メディアです。日本国内だけでも、例えば何千万人や何百万人ぐらいの多くの人々がそれらのメディアを読んだり、視聴したりしています。

それらのマス・メディアは、国民・有権者などの人々が、社会や公共などに関する事項や出来事についての情報を得て、社会問題への意識を共有したり、その問題解決に向けて考えていく上で非常に重要な情報源になるのです。その意味で、「社会の木鐸」(注1)や「公器」(注2)などと呼ばれることもあります。

私たち国民・有権者は、日々に生活があり、いつも社会問題に関心をもち、それを取材したり、調べることには限界も、無理もあります。その点で、マス・メディアなどは、それらに専任で仕事にしているので、情報を収集したり、取材したり、分析したりして、情報の発信や提供をできるのです。

このようなことから、マス・メディアの在り方においては、公共性や公益性を損なうことのないような報道が求められています。

他方、マス・メディアは、先述したような自由や権利などで法制度上守られており、立法・行政・司法などの権力から独立しており、それらから支配されないようになっているのです。

マス・メディアは、それらの権利などを活かして、それらの権力などの行き過ぎや間違いなどをチェックしたり、抑制している面もあります。マス・メディアがそのように大きな力と社会的影響力をもっているために、先の3つの権力についで、「第四の権力」と呼ばれることもあります。

(注1) これは、社会の人々を指導する人を意味します。

(注2) これは、公の役割を果たす機関を意味します。

政策研究者、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。経済安全保障経営センター研究主幹等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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