長寿と幸福を願って!敬老の日は「鶴乃子」と家族団欒お茶の時間を。ふんわりマシュマロに思わず笑顔
和菓子とマシュマロ…マシュマロって、洋菓子よね?と思う方。諸説あるうちのひとつとしていわれているのが、日本で最初にマシュマロとして製造販売したのは、老舗の和菓子屋さんという説。そもそもマシュマロが誕生したといわれているのはフランス。19世紀後半のフランスにて、メレンゲ(泡立てた卵白)と砂糖をあわせたギモーヴというお菓子が誕生。
そして数十年後、1899年に福岡県福岡市の博多港が開港指定され、日本における国際貿易拠点のひとつとして発展。世界から様々な文化や技術が集結し、日本全国へと拡散されていきました。そのため、今回ご紹介する福岡を代表する和菓子屋、「石村萬盛堂」さんがお店を構える博多区にはどこよりも早く西洋の文化が流れ込みました。
時を同じくして1905年、博多区にて創業なさった石村萬盛堂さんでは、卵黄をたっぷり使用した鶏卵素麺という銘菓を製造販売。その時にどうしても大量に余ってしまう卵白をどうにかしたいと思っていた矢先、マシュマロの製法と運命的な出会いを果たします。
それまで卵の殻に淡雪羹(泡立てた卵白、溶かした寒天、お砂糖などをあわせて羊羹の一種)と餡をつめた鶴乃子の原型のようなお菓子を作っていましたが、マシュマロの製造へとシフトチェンジ。
今回は日本におけるマシュマロのはじまりのひとつともいわれている、「鶴乃子」をご紹介。
ふんわりとした卵型は、みているだけでこちらの気持ちもまるくなってしまうような可愛らしさ。サイズ的には、SS~Sサイズの鶏卵といったところでしょうか。なので、よりリアルな卵感がひしひしと。
周りは仄かにしゃりっとした衣を纏っていますが、その中はふんわりとろり!一般的な駄菓子のマシュマロに比べると、幾分柔らかく仕上がっており、それがまた上質感を高めているような気がします。卵白の味わいも濃厚で、卵らしい風味に驚く方もいるのではないでしょうか。
中に包まれている黄身餡は、マシュマロ部分とのコントラストも美しい温かな黄金色。ねっとりとしながら意外と甘さは控えめなまろやかさの黄身餡に、一般的な小豆の餡子が苦手という方もぱくぱく食べられるという意見も私の周りにはちらほら。
鶴は千年といわれているように、長寿や幸福の象徴として縁起物にも取り入れられているモチーフ。ふんわり柔らかな鶴乃子は、敬老の日の贈り物としても相応しい和菓子ではないでしょうか。