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韓国高官が明かす、南北「朝鮮戦争終戦」協議の現状…「4.27宣言」の輪郭も

徐台教ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長
4月27日、南北首脳会談が行われる予定の板門店。今年2月、筆者撮影。

トランプ大統領は17日(現地時間)、南北間で朝鮮戦争終戦に向けた協議が続いていること認めた。韓国高官も18日、これを認め、その内容を一部公開した。

「4.27宣言に含まれる可能性」…南北→南北米→南北米中で「終戦」か

米国のトランプ大統領は17日(現地時間)、米フロリダで行われた安倍首相との会談で「南北間で終戦問題を議論しており、この議論を祝福する」と発言した。戦争とは1950年から53年にかけて続き、今なお停戦中の朝鮮戦争のことだ。

これを受け同日、南北協議に精通する政府高官が、朝鮮半島の未来をめぐる議論の現状について説明した。

まず、冒頭にあげたトランプ大統領の「終戦協議」をめぐる発言について、「朝鮮半島の安全保障状況を究極的に平和安保体制に発展させるための多様な方法を見当している」とし、「その一つの方案として、朝鮮半島の停戦協定体制を平和体制に変える方法も検討している」と協議の存在を認めた。

だが一方で、「韓国の一存でできることではないため、当事国や北朝鮮と緊密に協議する課程が残っている」とした。

昨日17日、南北首脳会談準備委員長を務める青瓦台の任鐘ソク(イム・ジョンソク)大統領秘書室長は「『4.27宣言』になるのか、『板門店宣言』になるのか分からないが、ここに込める内容をとても苦労しながら作っている。骨格は完成し、大統領にも3度検討してもらった」と明かした。

政府高官はこの「宣言」に含まれる内容について「必ず『終戦』という言葉を使うのかは分からないが、南北間で敵対行為を禁止する合意を含めるよう望んでいる」と踏み込んで話した。

さらに「終戦宣言」については、「(朝鮮戦争の)当事者間の協議が必要だ」とし「南北間でどんな形でも合意することを期待する」とした。

その上でやはり「南北両者間の協議で平和体制に転換できるかについては意見が存在するため、(南北米)差3者会談、さらに(南北米中)4者会談も可能」との見方を示した。

これらの発言から、南北首脳会談で出される宣言は、過去の宣言などを踏まえ「まず南北間で終戦をする」内容となると推測される。その後、米朝、南北米中で「終戦を確定させる=平和協定」のプロセスを経るものと見られる。

4月6日、南北首脳会談が行われる板門店を視察する韓国政府高官たち。一番左の人物が任鐘ソク(イム・ジョンソク)大統領秘書室長。写真は青瓦台提供。
4月6日、南北首脳会談が行われる板門店を視察する韓国政府高官たち。一番左の人物が任鐘ソク(イム・ジョンソク)大統領秘書室長。写真は青瓦台提供。

非核化の詳細については明言避ける

一方、「非核化」の内容については「南北米が考える非核化は全て同じだ」と、「北朝鮮の非核化」と「朝鮮半島の非核化」を区別しない姿勢を示した。

その上で、「非核化を達成する方案において大きな枠では南北米に差はないが、細部で差があるため、協議が必要だ。だが実現不可能な目標ではない」と語った。

ただ、ある記者の「朝鮮半島の非核化を議論する場合、米国の核の傘を除去するよう北朝鮮が要求してくるはずだが、議論にその内容が含まれるのか」という質問には回答を避けた。

鄭国家安保室長「北朝鮮の明るい未来をどう保障するのか議論」

また同日、韓国青瓦台(大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は会見を開き韓国政府の立場を説明した。

鄭室長はまず、「南北の関係、特に北朝鮮の核問題と朝鮮半島の非核化を平和裏に解決し、それを通じた朝鮮半島の平和定着という目標を達成するために努力してきた」と政府を代弁した。

また、南北、米朝首脳会談の開催は「歴史的な意味がある」と強調した。その上で、ここまで来るには南北米各種首脳の強い意志が働いたとした。

米国のトランプ大統領は「朝鮮半島の非核化という目標を達成する意志」を、韓国の文在寅大統領は「南北対話を通じて、南北間の朝鮮半島の恒久的な平和を構築する強い意志」を、北朝鮮の金正恩委員長は「非核化についての意志」を持ち続けたことを評価した形だ。

鄭室長はまた、「米韓の共調はいつになく緊密に維持されている」と主張した。去る10日にもジョン・ボルトン米国家安全保障補佐官とワシントンで会合を持ち「南北会談だけでなく、米朝会談成功について多様な方案を議論した」とのことだ。

特に、「朝鮮半島での究極的な平和定着の方案、北朝鮮の憂慮をどう解消するのか、北朝鮮が正しい選択をする場合、我々(米韓)が北朝鮮の明るい未来をどう保障するのか」について「深く議論した」とした。

ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長

群馬県生まれの在日コリアン3世。1999年からソウルに住み人権NGO代表や日本メディアの記者として朝鮮半島問題に関わる。2015年韓国に「永住帰国」すると同時に独立。16年10月から半年以上「ろうそくデモ」と朴槿恵大統領弾劾に伴う大統領選挙を密着取材。17年5月に韓国政治、南北関係など朝鮮半島情勢を扱う『コリアン・ポリティクス』を創刊。20年2月に朝鮮半島と日本の社会問題を解決するメディア『ニュースタンス』への転換を経て、23年9月から再び朝鮮半島情勢に焦点を当てる『コリア・フォーカス』にリニューアル。ソウル外国人特派員協会(SFCC)正会員。22年「第7回鶴峰賞言論部門優秀賞」受賞。

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